第147訓-ミツバ篇-終 難儀なのは恋と愛だけではない ページ47
ミツバさんのお葬式が終わってから数日が経った。真選組もいつも通りになった。
いや、正確に言うとなったはずだった。
「(……土方さんの手紙からでは葬式後からあまり顔を見せとらんって話やけど。
───そりゃあたった一人の家族を亡くしたんやもんな…。)」
屯所に入り、挨拶しながら土方さんの部屋に向かった。その途中に沖田さんの部屋があるのだが、そこに近藤さんと土方さんが立ち往生していた。
「近藤さん、早く開けろ。」
「じゃあトシが開けてよ。」
「なんで俺が。」
「局長命令だ!」
「こんな時だけ局長命令使うんじゃねー!」
不毛な言い争いやと思い、私は二人の前に行き、スパーン!と気持ちいいくらいの音で襖を開けた。
「え!?Aさんんん!?」
△△△
一応窓は開けているらしく、中は明るかった。ただ床には横になって蹲ってる沖田さんがいた。
近藤さんが沖田さんの名を呼ぶ。
「……すいやせん、今は一人にしてくだせェ。」
「総悟、これ以上は真選組の士気に関わる。」
二人とも姉が亡くなって落ち込んでいる沖田さんを気遣っているが、私は思った。過去に囚われとるんやないかと。
そう思ったらするりと口から出た。
「………いつまでそうやっとるつもりや?死んだ者に執着して、たどり着く先は一体なんなんや?」
「ちょ、何言ってんですか!Aさん!」
「くだらん。そんなんやったら、己の……真の道なんて一生進めん。
……分かったらさっさと仕事をっ…!?」
「アンタに何が分かるんでィ!!」
すると、大声を出した沖田さんは私の胸ぐらを掴んだ。もしかして、怒っとる?違う、ただ私は……。
「いつまでもいつまでもふらふらふらふらして!」
私はただ、沖田さんが……
「その気にさせるような顔をしておいてそっぽ向いて!」
沖田さんが、ミツバさんの死で過去に囚われてほしくなくて……、
「そんな薄情者に!俺の何が分かるんでィ!!」
「……。」
「総悟!!!」
近藤さんが怒鳴る。
正直、カチンと来た。沖田さんの言うことが本当なら私にも非があるんやろう。少しキツく言いすぎた。しかし酷い言われようや。八つ当たりされた気分。
「……そーですか。」
「……。」
沖田さんは顔を伏せている。表情はみえない。きっと私も同じやろう。
「土方さん 書類は郵送で。お手数ですが、お願いします。」
「……。」
「あっ、Aさ……、」
………最悪や。すまんのぉ、ミツバさん。
【ミツバ篇】終
第148訓 万事ってどこまでが万事なんでしょうね(前編)→←第146訓-ミツバ篇-十六 優しい人の傍らに
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運動系引きこもり(プロフ) - 無影灯さん» はじめまして!コメントありがとうございます!面白いと言うコメントを頂くとやっぱり嬉しいものです…。はいっこれからも頑張りますね!! (2020年3月12日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - はじめまして、お疲れ様です!見やすくて、とても面白いです!これからも応援してます! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 7a1223e495 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 糸針シナさん» シナさんいつもありがとうございます引き継ぎが出来ました。ほんと、お礼したいですいつか。評価の方はこちらで頑張ってみます!ありがとうございました…!!シナさんも更新頑張ってください応援してます…! (2019年11月30日 16時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 評価ボタン押せるには押せますが見えませんね…、引き継ぎですが、こちらでできますよ〜!→ https://uranai.nosv.org/favcnt.php (2019年11月30日 16時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年11月30日 15時