第142訓-ミツバ篇-十二 曲がっても曲がっても殴って真っ直ぐに ページ42
「なんだってんだどいつもこいつも。二言目にはトシ トシって。肝心の野郎はどーしたィ。姉上がこんなだってのに姿も見せねェ。昔の女がどーなろうと知ったこっちゃねェってかィ、さすがにモテる男は違うときた。」
募り募った気持ちが溢れた。近藤は沖田に対して寝ろと言うが沖田の自虐の言葉は止まらなかった。
「邪魔ですかィ 俺は。土方さんと違って。」
その言葉に近藤はカッ、と目を開き沖田の胸ぐらを掴んだ。するとまた奥の方から大声でアフロが走ってきた。
「局長ォォォ!!大変なんです!副長がァァ!!
『転海屋』蔵場当馬の逮捕に一人で行ってしまいましたァァァァ!!」
「トシ一人で!!山崎ィ!!てめェなんでもその件今まで黙っていた!!」
「すいません!!副長にかたく口を止められていたんです!親類縁者に攘夷浪士と関係がある事が隊内に知られれば沖田隊長の真選組での立場を失うと……!」
近藤は山崎越しにAを見る。Aさんは知っていたのかと。Aは首を横に振った。薄々気づいてはいたが言われてない。
それに“頼んだ”という言葉にどれだけの思いが詰め込まれていたのか計り知れなかったが、その一部は汲み取るとこはできた。
「っあの野郎ォ!」
「お前は動くな。……側にいてやれ。それに、今のお前では足でまといだ。剣に迷いがある奴は死ぬ。」
「仲間を信じろってかィ。……近藤さんアンタは俺を誤解してる。俺はアンタが思う程綺麗じゃねェ。いつだっててめーの事しか考えてない。いつも一緒にいて感じてた、俺はアンタ達と違うって。だか…っ」
沖田が続きを言おうとしたらその体は吹っ飛んだ。近藤に殴られたことによって。
山になっていた缶コーヒー達がガシャンっ!と崩れる。中には潰れたものもあり、コーヒーが漏れていた。
「イテテ……随分と手厳しいな、近藤さんは。」
「それはてめーがガキだからだ。てめーが勝手に掘った小せェ溝なんて俺たちは知らねェ。そんなもん、何度でも飛び越えて何度でもてめーをぶん殴りにいってやる。」
「誰かが曲がったら真っ直ぐになるよう殴りあえる悪友を二人も得たんだ。……総悟、もし俺が曲がっちまった時は今度はお前が俺を殴ってくれよな。」
そのまま去っていく背中は真っ直ぐに進もうとしている男の背中で。Aはどうして近藤に支持が集まるのか再確認出来た。
…………そして、自分には“悪友”がいたはずなのに真選組のやり取りを見て羨ましく思った。
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運動系引きこもり(プロフ) - 無影灯さん» はじめまして!コメントありがとうございます!面白いと言うコメントを頂くとやっぱり嬉しいものです…。はいっこれからも頑張りますね!! (2020年3月12日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - はじめまして、お疲れ様です!見やすくて、とても面白いです!これからも応援してます! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 7a1223e495 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 糸針シナさん» シナさんいつもありがとうございます引き継ぎが出来ました。ほんと、お礼したいですいつか。評価の方はこちらで頑張ってみます!ありがとうございました…!!シナさんも更新頑張ってください応援してます…! (2019年11月30日 16時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 評価ボタン押せるには押せますが見えませんね…、引き継ぎですが、こちらでできますよ〜!→ https://uranai.nosv.org/favcnt.php (2019年11月30日 16時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年11月30日 15時