第141訓-ミツバ篇-十一 一言に託した想いを綴る ページ41
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─────しばらくすればバタバタと沖田と近藤が走ってくるのが見えた。二人は息が切れているが、特に沖田は顔が青ざめていた。
Aが医者に聞いた通りに容態について話すと二人共、顔を伏せた。
「ふぁ〜あ、んじゃあ俺寝るわ。」
「え。」
こんな緊迫した空気でそんな呑気なこと言えるのか、と思ったが、銀時は別に帰る訳ではなく、近くにあった長椅子に横になったのだ。
Aが変わらないな、と安心したように笑った。すると携帯が振動した。携帯を取り出すと一件のメールが来ていた。
「(……土方さん…。)」
───
From:土方十四郎
To:東雲A
件名:なし
頼んだ。
───
「(…………短かくない?
──頼んだって……どういうことや。まさか『転海屋』の件、一人で片付けに行く気か?)」
Aは照れながら頬を染めて口元を緩め、幸せそうに語るミツバの顔が浮かんだ。自分のことでは無いのにきゅ、と胸が痛くなる。
加勢に行くべきかと考えるが「頼んだ」の一言を見直してやる事は決まった。
もう遅い時間になってしまった。でも眠るわけにはいかない。Aは自動販売機からコーヒーを買って沖田の隣に立ち、ミツバを見続けた。
△△△
次の日の夜。
「沖田さん、そろそろ寝たらどうや?一睡もしとらんやん。」
「姐さんこそ寝てないじゃねーですかィ。」
「私は寝んくても大丈夫なよーにカフェイン取り続けとるから。」
「だからって買いすぎだろィ。」
五段くらいの缶コーヒーが積まれている。確かに買いすぎたと、Aは誤魔化すように今持っている缶コーヒーを飲み干してゴミ箱に入れた。
沖田は怪我について聞いてこないAに不思議に思った。それか山崎によってもう聞かれてるかと思っていた。土方とやり合い、派手に負けた。
隣に立つこの女は普段とそぐわない顔でガラスの向こうを見ていた。
「いいなアイツはノー天気で つーかなんでいるの。」
近藤がくまをつけた状態でこちらにやってきた。銀時はうるさくいびきをかきながら寝ていた。
「トシと派手にやり合ったらしいな。珍しいじゃねーか、お前が負けるなんて。」
「今は野郎の話はやめてくだせェ。」
「くわしくは教えてくれんかったがな、言っていたぞ。今のお前には負ける気がせんと。」
「やめろって言ってるんでェい!」
珍しく沖田が声を荒らげるとAは驚きからか眠気からか、少しよろけた。
銀時のいびきが少し止まったように聞こえた。
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運動系引きこもり(プロフ) - 無影灯さん» はじめまして!コメントありがとうございます!面白いと言うコメントを頂くとやっぱり嬉しいものです…。はいっこれからも頑張りますね!! (2020年3月12日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - はじめまして、お疲れ様です!見やすくて、とても面白いです!これからも応援してます! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 7a1223e495 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 糸針シナさん» シナさんいつもありがとうございます引き継ぎが出来ました。ほんと、お礼したいですいつか。評価の方はこちらで頑張ってみます!ありがとうございました…!!シナさんも更新頑張ってください応援してます…! (2019年11月30日 16時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 評価ボタン押せるには押せますが見えませんね…、引き継ぎですが、こちらでできますよ〜!→ https://uranai.nosv.org/favcnt.php (2019年11月30日 16時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年11月30日 15時