第124訓-柳生篇-二四 護ってくれて ページ24
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新八が走り去っていったのを確認し、倒れている柳生にAは皿を割るため近づいた。
しかし油断していた。腕に一本入れて、気の毒だが骨を砕いたつもりだった。無理に動こうとはしないはず。
「オイッ 危ねェ!!」
「っ!」
ヒュンッ
「本当にすごいね。その細い腕でとんでもない筋力がある。幼少期に特別な訓練をされていたに違いない。」
左腕を力なくだらん、とさせた柳生が立ち上がり柳生の攻撃を間一髪でかわしたAを賞賛する。
「A どけ!」
ガンッ!
木刀同士がぶつかる。土方がAを飛び越え柳生と打ち合う。土方は既に呼吸が荒かった。
「はぁ、はぁ、」
「息が乱れてるな。戦いの場において呼吸を読まれることは……手をうちを晒すことと同じことだっ!」
「っ土方さん!!」
下から顎を木刀で殴られた土方。Aは動こうとするが足が動かなかった。その反動でたおれる。
不思議に思い足を見ると見ただけでわかるくらい頑丈な縄が絡みついていた。動こうとするだけでどんどんきつくなっていく。
ここは柳生家。罠を仕掛けられてても仕方なかった。いつの間に……と気づけないほどAは目の前の土方が心配だった。
「土方さんっ!!一旦引いて!お願いやから!!」
「ふーっ、」
「君は僕をバカにしているのか?そんな剣で僕に勝てると思っているのか?一体どーいうつもりだ。」
土方はAの呼び掛けを無視する。血をびちゃびちゃ垂らしながらも柳生と対峙する。
それは喧嘩をするため、男の尊厳を取り戻すため────。
△△△
鼻がいいわけではないがハッキリと届く鉄臭い臭いにAは呼吸を荒らした。
小さくなっていく柳生を背後にAは土方を見ていた。
血を流しうつ伏せに倒れて、動こうとしない。
その姿が焼き付いて離れない。心臓が凄い速さで脈打ち、体が熱くなる。額から汗が滲んできた。
「(ダメ、ダメ、土方さんなら大丈夫…大丈夫……。)」
自分を落ち着かせるように、大丈夫だと暗示をかける。心臓の脈打ちが遅くなり体温が戻ってくる。
「(大分、抑えられるようになってきた…。よし……)
ぐっ!」
縄を無理やり引きちぎった。なんとか立ち上がるがキツく縛られていたので足元が覚束無い。よろけながらも土方の元へ行き、片腕を持ち上げ自身の肩を貸し一歩一歩歩いていく。
「………悪かったな。」
「……謝らんといてや。私の中ではもう土方さんはただの部下やないんや……。護ってくれてありがとう。」
土方はフッと口角を上げた。
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運動系引きこもり(プロフ) - 無影灯さん» はじめまして!コメントありがとうございます!面白いと言うコメントを頂くとやっぱり嬉しいものです…。はいっこれからも頑張りますね!! (2020年3月12日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - はじめまして、お疲れ様です!見やすくて、とても面白いです!これからも応援してます! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 7a1223e495 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 糸針シナさん» シナさんいつもありがとうございます引き継ぎが出来ました。ほんと、お礼したいですいつか。評価の方はこちらで頑張ってみます!ありがとうございました…!!シナさんも更新頑張ってください応援してます…! (2019年11月30日 16時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 評価ボタン押せるには押せますが見えませんね…、引き継ぎですが、こちらでできますよ〜!→ https://uranai.nosv.org/favcnt.php (2019年11月30日 16時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年11月30日 15時