第70訓-紅桜篇-十一 決別 ページ20
【Aside】
鬼兵隊の人達は私だと判断すると攻撃はしてこなかった。しかし春雨はお構い無しだったので、斬っておそらく晋助、ヅラや銀時がいるであろう場所に向かった。
天人を斬りながら思う。
本当は知っていた。皆が私を戦場に出したくなかった事。皆、私の血筋を知ってるから。皆、優しいから。
普通の女として、どこにでもいる、町娘みたいに過ごして欲しかったのは痛いほど知っている。何故なら皆の一つ一つの言葉に気持ちがこもってたから。
でも皆が傷ついていく姿を見るのが辛くて、ボロボロになって帰ってくる皆を見るのが恐くて、気付けば私はヅラに「私も戦場に出る」と言っていた。
もちろん反対されたが着慣れない鎧を着て、先生から貰った刀を改造して大きくして刀に爆弾入れたり、銃弾を出せるようにしたり、刀身を更に大きくさせるカラクリもして…
いつの間にか“殺戮の鎧”だなんて物騒な異名をつけられてた。
私が斬る音とは別の音が聞こえた。そのまま真っ直ぐ走り続けると天人を斬り続ける銀時とヅラ。
「銀時ィ!」
「あ?」
「世の事とはなかなか思い通りにはいかぬものだな!国どころか友一人変えることもままならんわ!」
「ヅラぁ お前に友達なんていたのか!?そいつぁ勘違いだ!」
「斬り殺されたいか貴様!!」
なんて呑気な。変わってない友に思わず笑った。
「銀時ィィ!!聞こえてるかA!!」
「あ"あ"あ"!?つかAなんてどこにいんだよ!」
「…?」
「お前らは変わってくれるなよ。銀時はともかくAを斬るのは御免こうむる。」
「ヅラぁ、お前が変わった時は真っ先に叩き斬ってやらァ。」
ヅラと銀時は真っ直ぐ晋助に剣先を向けた。
はっきりと言える、決別だった───。
「高杉ィィィ!!そーいうことだ!!」
「俺達ゃ 次会った時は仲間もクソも関係ねェ!」
『全力で…てめーをぶった斬る!!』
「せいぜい街で会わねーよう気をつけるこった!」
あ、置いてかれる。
私はヅラを呼んだ。どうやら銀時も私に気づいたようだ。ヅラは私に気づくと「A来い!」と手を伸ばしてきた。当然私はその手を掴もうとする。
すると「A。」と晋助の声が聞こえた。
振り向くと晋助がすっ、と左手を私の方へ伸ばしてきた。
「────俺と、来い。」
思わず目を見開いた。一瞬だけど迷った。一度払ったその手を掴んでもいいのか、今までの関係を捨ててそっちに行ってもいいのか。
私が立ち止まってしまうと、銀時が手首を持って
「行くぞA!」
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miraiwalk8(プロフ) - ありがとうございます!夜はぐっすり寝てくださいwこの紅桜篇でも楽しんでくれると幸いです! (2019年8月5日 2時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 遅くなりましたが続編おめでとうございます ! 2 作品目は紅桜篇ですか ! しかも高杉氏の「俺と来い」発言 ? ! 興奮して夜しか眠れません…… ! 次の更新も楽しみに待っております ! (2019年8月5日 0時) (レス) id: d2be23fc95 (このIDを非表示/違反報告)
miraiwalk8(プロフ) - 桜匁さん» ありがとうございます!!ほんと、コメントが嬉しすぎます…!ノロノロな更新速度ですが、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します!!! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 続編おめでとうございます! 今回は紅桜篇なのですね! また東雲さんのカッコいい姿が見られるかなーと今からでもワクワクしております! カブト狩りの回のお話も面白くて続きが今からでも楽しみです。 作者様のペースで頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年8月3日 16時