兄弟に愛されて… (ページ3)

今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:31,974 hit

53 ページ3

私は未来の手を強く握りしめたあと陽稀と星波にお願いをした。

『ごめん…陽稀と星波。』

陽稀「なに？」

『少しだけ二人きりにしてほしい…』

星波「分かった。なんか異変あれば廊下にいるから言えよ？」

『うん。』

そういって二人は病室を出ていった。
私は僅かではあったがどんどん下がる未来の心拍数がまた正常になることを祈った。

10分…30分…と時間が過ぎていった。
未来の心拍数は下がるばかり。

『未来…私、ここにいるからね？顔は見えなくても声は聞こえるでしょ？
話せなくても未来の事なら分かるからね…。』

私はそう未来に言ったきり、未来の手を握りしめたまま目を瞑り祈った。

あっという間に2時間たった。
ピーピーという心電図のモニターの音は消えることなく少しずつ下がっていき、もうほとんど心臓は動いていない状況だった。
私はもう間近に迫ってきている未来の死を受け止めることが出来なかった。
やっぱりあの時、星波と陽稀が言ったように諦めていなければこんなに祈ってなかったのかな…って思ったりもした。

そして2時間30分がたった頃…
未来の心臓は波紋程度だった。私はまた祈った。
どうか今からでもいい。目だけでもいい。開けて…

そう願った。
すると、ピーピーとなり続けていたモニターがピッピッという音に変わった。
私は涙と強く目を瞑り過ぎたせいでぼやけていたが確かに心電図は正常になり始めていることを知らされてくれた。

『未来…そんな…夢じゃないよね…』

すると握ってる未来の手が私の手をそっと握った。

『未来！？』

その声で陽稀と星波が駆け込んできた。

陽稀「ほのか！何かあったのか！？」

『見て…未来の心臓が…』

星波「嘘だ…正常になってきてる。」

陽稀「俺、先生呼んでくる。」

そういって陽稀は病室を出ていった。