運命の人に手が届かない (ページ36)

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　３４話ページ36

え、何？

すると、零くんは怒ったように言った。

　零「確かにAは警察だ。でも、警察の前に一人の女性であって、僕の彼女だ。Aが危ない目にあったり、けがをする度におのれの不甲斐なさに腹が立つ。いくら警察だからといって無理をするな。俺が目の前にいるときは、俺がなんとかするから。」

「うん、ごめんね・・・。」

心配かけたのなら本当に申し訳ない。

思わずしょんぼりしてしまうと、零くんは笑顔で言った。

　零「まぁ、この事件は解決したし、ディナーの時間にしよう。行こう、A。」

そう言ってさり気なく手を握ってくれる・・・その優しさに笑みがこぼれる。

少し照れくさくて、甘酸っぱい・・・そんな気持ちで彼の背中についていった。

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「いい景色だね・・・なんか、私には場違いな気がする・・・。」

　零「そうか？とても似合ってると思うが。」

零くんに連れてこられたのはまさかのお高いレストランで、きれいな夜景付き。

中々予約が取れないところだと有名だったので、驚いてしまう。

でも、嬉しいなぁ・・・。

二人で談笑しながら、食事をし、あっという間にデザートまで食べ終えた。

その時だった。

　零「・・・聞いてほしいことがあるんだ。」

そう言ったときの零くんの懐かしむような、でも、とても寂しそうなその表情に見覚えがあった。

　零「僕が警察学校に通っていた頃、仲の良かった同期がいたんだ。僕を含めて５人でいつも一緒にいたよ。でも、みんな殉職してしまったんだ。」

そう静かに語り始める零くんは、不思議と微笑んでいた。

　零「とても悲しかった。とても大事な友人だったのに・・・辛かったよ。だから、Aまでいなくならないでくれ。」

「・・・うん。」

外は雪が降っていた。

　零「ずっと不安だった。あいつらに何もできなかった僕がまた大事な存在をつくっていいのかと・・・守れるのかと。でも、自分の気持じゃ抑えきれないくらいAのことが好きなんだ。」

　零「僕は公安だ。いつ死ぬかもわからない。それをわかったうえで聞いてほしいことがあるんだ。」

そう言って零くんは一つの箱を取り出す・・・・これって、

　零「僕の一生をかけて日本と共にAを守る。だから、僕と一緒にこれからも人生を歩んでくれないか？」