第1の怪 邪教の集団 陸 ページ7
「死ぬ前に教えてやろう。我が教団の目的を。」
(目的?中二みたいなこと言いやがってこのデカブツ。)
「それは十数年前に遡る。我々の元教祖だった隠部天堂(かくれべてんどう)は、ここに新たる宗教を作り上げたのだ。それは偉大で、神々しさをまとっていた。まさに神のような姿だった。が、今に日本を見て愕然として、自害されたのだ。悲しみにくれた我らだったが、私が新たなる教祖として、この国打倒を目標に掲げたのだ。」
「意味が分からねぇ。日本を倒す?頭のねじ飛んでるんじゃないか。」
「凡人には分からぬ。この素晴らしさが。」
「何が素晴らしさだ、このボケ。関係ない人を巻き込んで、お前みたいな奴は、同じ人間に見えね
ーよ。」
教祖は高笑いを上げている。俺は悔しそうな顔をしていたんだろうな。睨みつけていたんだ。その教祖を。むかっ腹がたっていた。怪我なんかしていなかったら、コイツなんか。惨めで、とても悔しい。せっかく隆さんに恩が返せると思って、この部活に入ったのに。俺はここで死ぬのか。やっぱり普通がよかった。普通が。死、死、死…。死にたくないなぁ。それに隆さんなら言うはずだ。諦めるな、希望は必ずやってくる。どこかの漫画みたいなセリフを言うだろうな。とここで教祖がまた言い出した。
「私は今、即身仏を作るのに凝っていてね。無理やり即身してもらうのだがね、普通ではやらない
。蠱毒をするんだ。人のおなかの中でね。人もね、入れ物だからね。魂の入れ物。だから、面白みがあふれてくるんだよ。本当に。」
そう言い放ち、さっきの壺を持ってきた。中に小さなムカデが無数に入っていた。これをまさか、俺の体に入れるつもりか。そんな事、させてたまるものかぁ。
「あれー、抵抗するのぉー。いいよ、もっともがいてよ、ほら。無駄だけど。」
「お前、今日いい日にはなれねーぜ。」
「無視、無視。今日はとてもいい日になりまーす。それじゃあ、始めるか。」
教祖の声色が変わった。いよいよ実行するようだ。俺は抵抗したが、体中痛くて大して動けない。クソ、こんな所で、人生終わってたまるかよ。俺は無意識に歯ぎしりをしていた。生きることは諦めていない。それだけは確かだ。クソ教祖が壺に入ったムカデごとこっちに持ってきやがった。やられる、殺される。やっぱ普通がよかったな。普通がよかったと思う。咲淵の声が響く。でも、力入らないや。俺が諦めて目を閉じようとした瞬間、「生きることを諦めるな。」聞きなれた声が響いた。
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夜行 - 大好きですよ。この作品。更新待ってます。応援しております。 (2016年8月19日 22時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年3月1日 22時