異界奇譚怪奇心霊オカルト部 (ページ5)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:5,579 hit

第１の怪　邪教の集団　肆ページ5

帰り道で考える。隆さんは、人を救うみたいな中二全開みたいなことを言っていたけど、どうやって救うつもりだろう。霊能力か。いや、一応俺も持ってはいるが、そんな感じに使ったためしがない。見えるけど、それだけだ。第六感なんて言うけど、結局、人による能力だしな。風呂に浸かって考える。俺が育った街って、そんな危険だったか。たしかに、廃工場と廃病院があったりするけど、霊が出るとか呪われたりしているって言うのは、聞いたことがなかった。いや、聞いていないだけであったのかもしれない。それでも、クラスで肝試しの話はなかった。なぜだろう。不思議だ。夕飯を食いながら考える。隆さんは、いつからこの部を設立したんだろう。数人なら学校側も認めなかったんじゃないか。でもどうやって？少しベッドの上で寝転がって考える。隆さんは、いつも何を考えているんだろう。人助けのあれこれか、それとも…、それとも…、あれ、俺、何でそれともと考えたんだろう。何でだろう。窓を見て考える。星が瞬き、月が輝いている。不思議だな。裏山までの道のりで考える。俺にとっての隆さんってなんだろう。友達、仲間、師、それだけじゃない。なんだろう。不思議とホッとする。まるで、家族みたいな。何でこんなこと考えたのだろう。でも兄ちゃんがいたらこんな感じだろうなと思ったりする。思ったりするだけだ。

「おっ、来た来た。時間通りか。」
「ん？誰、この人。」
「副部長の勝だ。主に力仕事担当。」
「よろしくな１年。」「どもッス。」
(咲淵はまだか。)「遅くなって、ごめんなさい。」
「来たな。これで全員か。」「みたいだな。」
「よし、今日することを言うぞ。幸が持ってきた情報によると、この裏山の廃神社に集まっているカルト教団の発見と確保、行方不明者の救出だ。警察にも頼まれているから慎重にな。発見したら、俺か勝を呼べ。深追いはするな。それと、こいつを持っていろ。」
「これは？」「延命の石だ。身代わりになってくれる貴重なものだ。無くすなよ。」
「いつも悪いな。」「ふっ。さぁ、行くぞ。」
「おぉーーーーー。」×３

東西南北に分かれた俺たちは、みんな一様にあたりを探した。大木の裏、洞窟、山小屋、谷と探し回ったが見つかるどころか人の気配がしない。デマの情報だったか。いや、どこかにあるハズだ。どこかに。１時間経過―。

「くっそ、どこだ。」闇雲に探してもだめか。この広い裏山の一体どこにあるんだ。諦めるな、あの人なら言うはずだ。

第１の怪　邪教の集団　伍→←第１の怪　邪教の集団　参