壊れてしまう貴方へ【まふまふ】

四日目 ページ6

ぼーっとする。





話の内容なんて全然入ってこない。




あのギターの音色と、あの人の面立ちが……どうしても頭から離れようとしない。




「そんでねー….ってA….？Aー。」



「……」



「A〜！Aってば！」




「….うぇ！？あ、ごめんね…夏目ちゃん。」



目の前のちっちゃな金髪の女の子….もとい夏目ちゃんは、キョトンとした顔で私の顔を覗き込んだ。



「どしたー、何かあった？」


「ごめんね、何でもないよ。」



夏目ちゃんは、そっかー、と返事をして私の頭を撫でた。



「何かあったら言うんだよ？Aは抱え込んじゃダメ。おk？」



ちょっと不器用だけど、私の心にすんなり伝わる言葉。



夏目ちゃんなりの優しさが、私は大好きだ。



母さんが帰っていった後、入れ替わるように夏目ちゃんが来て、二人っきりで話し込んでいた。


それなのにぼーっとしてたのか.…


「あ、そういえば夏目ちゃん、歌い手さんの方はどうなの？」


私が言った途端、夏目ちゃんはカラッとした笑顔に変わった。


「今ね、2年ぶりのスタプラでさ！準備してるんだー。お仕事ざっくざくよ！」



嬉しそうに語る夏目ちゃん…96猫は、人気の女性歌い手さんみたいで。


ツイッターのフォロワーは歌い手さんの中だと、一番みたい。


イケボとカワボを使いこなしちゃったりして、私も96猫さんの歌には聞き惚れるほど。



「まさか、夏目ちゃんが歌い手するなんて思わなかったもんなー。」


「そいえば、Aがこの部屋にこもり始めてからだもんねぇ。歌い手始めたの。」


「そんな人を引きこもりみたいに言わないのっ！」


拗ねたようなフリをするけど、本当はとっても嬉しいんだ。


私をたくさん元気づけてくれた96猫の歌声は、今もとても大切なものだし、夏目ちゃんが96猫として活動してるのをずっと応援してたいと思う。



「スタプラと言えば、そらるさんも出るんだよね？」


そう、実は私はそらるファンだったりする。

この前の96そらコラボ放送なんて、発狂で倒れそうだった。余計体に悪いね。



「あぁ、そらるんね。好きだもんねぇそらるん。」


「そりゃね！だって最高じゃない。」



「すぐに俺を馬鹿にしてくるよあいつ。」



ぷんすか怒ってるみたいな夏目ちゃんを見て、思わず吹き出しそうになった。


まぁ、吹き出しはしなかったけど。

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