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31話 - 助けて… ページ31

諸「落ちついた?」

『………うん…ありがとう、景』

諸「どういたしまして。ほらこれ買ってきたから飲んで。」

『………………ごめんね…せっかくのお出かけ、なのに…』

諸「大丈夫、また何回でも出掛けたらいいよ。皆には連絡入れたからゆっくりしよう」





景から水の受け取ると私の隣に景が座る
ずっと背中を擦りながら、何か言うわけでもなくただただ隣に寄り添ってくれる
さっきまでの気持ち悪さも知らない間に抜けていて吐き気も消えていた





『…………なんかね…』

諸「! うん…」

『最初はどうもしなかったの……でも、あの子供に話し掛けられて、ぐちゃぐちゃになった…………』

諸「ぐちゃぐちゃ?」

『そう……何の感情かは分からないけど、沢山の何かが渦巻いて…気持ち悪くなった……』

諸「(記憶を無くす前の記憶が入り交じってるのか……)」

『………………多分。あの子の匂い…だと思うの……』

諸「匂い?」





見ている分には平気だった。
だから何かに反応すると言えば匂いだけ……言葉も声も不思議とどうも思わなかった。
留まることで匂いが蓄積されて "過去の記憶が影響" した、んだと思う

油や、機械の匂い、そして……薬品のような、化学製品の匂い





諸「A。」

『……な、なに…?』

諸「記憶を戻したいって…思う?」

『っ……』

諸「きっと、辛くて苦しくなるし、さっきと同じような事になる……それでも思い出したいのなら協力する。」

『わ、私は…………』

諸「A。オレたちはどんなAも好きだよ。記憶を失う前も今も…………
辛い思いをするかもしれない。でもAが記憶を取り戻したいと言うならオレは全力でAをサポートする。ずっとAを好きで居る。絶対に」

『ッッ…!………………思い…だしたい……私は逃げたくないッ…!』





持っていた水のペットボトルを強く握りしめる。
辛いし、怖いし…もう同じ経験をしたくない…………でも、皆との想い出を、私は取り戻したい。
そして、今よりももっと!もっともっと…皆を好きになりたい!





『お願い景……私を助けて…っ』

諸「勿論。当たり前だ。」





忘れられた記憶も、今の記憶も、全部全部取り戻して……皆と対等に並べられる関係になりたい

だから……

だから…私を絶対に嫌いにならないで…
今の私を、絶対に忘れないで…


今も過去も全部私だから

32話 - 情報提供→←30話 - 嫌悪感と不快感



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ネコ枕 - 景光落ち最高です..話も面白くてすごい好きです!! (1月14日 2時) (レス) @page47 id: eb7a4a6b55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みらい@マサイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mirai1212  
作成日時:2023年12月6日 19時

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