22話 - 近づいた ページ22
諸伏side
『…………これは?』
諸「えっと……お粥?」
『んう………食べる物…なの?』
諸「ん〜……消化にはいいと思うよ。A。1週間くらい寝てたから」
『1週間…って…………どのくらい……?』
諸「一日が24時間だから、168時間?」
『…………よく分からない…』
諸「言葉にするとそうなるよな。起きてから一日が経ったらきっとAも分かるよ。」
『そう……』
オレが差し出したお粥を眺め、いくつか聞いてきた後スプーンでお粥を掬いスンッと匂いを嗅ぎ、静かに口へと運んだ。
変わらない表情に、Aをあいつから取り返した時の風景が思い浮かぶ。
『んッ……あッ、つっ…………』
諸「大丈夫?A」
『んっ……平気…。』
あの日、もう少し早く行動していれば結果は変わっていたのだろうか……
今更後悔しても戻ることは出来ないんだけど……
『──の───あのッ、諸伏くん』
諸「………………………………えっ、あ。ん?」
『おっ…おかわり欲しい…です……』
1歩引きながらお皿を差し出し聞いてくるAの手からお皿を受け取り「少し待ってて。」と声を掛けてAの部屋を出て扉を閉める。
ポタッとカーペットに染みが落ち、片手を離し頬を撫でると指が濡れた
濡れた指を見て涙を流していることに気がついた
Aと再開して1ヶ月も経ってないけれど、そんな中名称で呼ばれることは無かった
呼ばないように注意していたように見えた
あいつからAを取り戻した時、記憶が再び消されたことに驚愕したが、今…初めてAに名前を呼ばれた。
初めてAに名前を呼ばれた時と同じ呼び方で……
諸「…………ははっ…最低だな、オレ…」
名前を呼ばれた事への喜びと、その反面…Aの記憶が無いことに少しの喜びを感じてしまった
これじゃあ、アイツと一緒だ…
都合の悪い記憶が、Aの中から消えることを願っているなんて
オレ達の記憶を思い出して欲しい……
でも、思い出して欲しくない…
諸「オレは……優しくないよ…A。」
今はいい……
Aが記憶を取り戻すその日まであの言葉を記憶の片隅にでも閉まってて
────Aが誰かを好きでも、オレはずっとAが好きだから────
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ネコ枕 - 景光落ち最高です..話も面白くてすごい好きです!! (1月14日 2時) (レス) @page47 id: eb7a4a6b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みらい@マサイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mirai1212
作成日時:2023年12月6日 19時