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「んっ……んん〜…!」
ガタッと何かが揺れる音でいつの間にか落としていた意識を取り戻した。
外は夕暮れ……オレンジ色に照らされた周囲を見て「帰ろう」と唐突に思った。
「ぁっ……教室に傘忘れた…………」
夜から雨が降ると聞かされていた僕は折り畳み傘を机の中にしまい込んでいたことを思い出した
誰の声も聞こえなくなった校庭を見て、教室に誰も居ないだろうと高を括り
床に置いた鞄を肩にかけ直し屋上を出る
ヒール音だけが響く階段、廊下に……僕は今1人なんだ、なんて馬鹿みたいな考えが過ぎった
いつもは、ここも屋上も校庭も…零と2人だったんだ
本当にバカだ。
一生の別れでもないくせに、少しでも1人なっただけでこのザマだ
きっとこれが零に変な感情を抱いてしまった代償なんだろう…
「バカみたいな仕打ち………っ!ぜ…零……」
零「っ、景……お前先に帰ったんじゃ」
「っ…!!」
零「なっ!待てよ景!」
何故かこんな時間が経っても教室に居た零を見て、僕は思わずその場を駆け出した
なんで…!なんで零が居るんだよ……!!
変な期待が閉まっていた感情から溢れ出す。
僕に彼女がいると聞いて残って居たんじゃないかって、僕が戻って来る。って思って待っていてくれたんじゃないかって…ッ
そんなことッ……ありえないのに……ッ
零「ッ景!待てって…!ッ……クッ、こっのッ!!」
「うわっ!?」
零「っはぁ………ハッ……や、っと…捕まえた」
「えっ、ぁっ……ッ//」
ぎゅっと腰に巻かれた腕が僕の腹部に絞まる
耳元に零の息が当たる
この状況に身体が追いつかずガクッと膝から崩れ落ちた。
零「だ、大丈夫か…?」
「………だ、大丈夫だから……腕離して…//」
零「ぇっ、あ!ごめん景!」
零の触れた場所が暑い
抱き着くくらい、何も変わらないのに
この感情が、思考が……そういう風に捉えてしまう………
零の顔が、上手く見られない……
零「景……お前なんで僕を見た時に逃げ………なんで僕の顔見ないんだよ」
「ッ……//」
零「あ、こら!また!!」
「っ!あ!やめっ……ッッ///」
零「……………………はっ…?」
零に両手を抑えられバチッと目が合った。
声にならないような声が喉から溢れ出す
「ッ!ご、ごめん!僕零の事が好きなんだ…!///」
静かな時間にこの空気に耐えられず口から言葉が盛れた
きっとこの状況で零に隠す事は不可能だと思ったから…………
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つぐみ - 心がポカポカしました!更新ありがとうございます! (2022年12月25日 0時) (レス) @page10 id: 2946bee666 (このIDを非表示/違反報告)
つぐみ - クリスマス寒波ですごく寒いですね。寒くて凍えるので、零景のクリスマスか年越しのお話で暖めていただけると嬉しいです!ご検討お願いします。 (2022年12月23日 22時) (レス) id: 2946bee666 (このIDを非表示/違反報告)
つぐみ - 新妻エプロンを着てお約束の台詞を言った時の景くんは、きっと可愛さが天元突破してた。零さんがうらやましい…! (2022年12月15日 23時) (レス) @page8 id: b9f39745af (このIDを非表示/違反報告)
みらい@マサイ(プロフ) - つぐみさん» つぐ様ではないですか!一緒だ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝ ほのぼのも良きですねぇ…新婚夫婦的な感じの! (2022年12月10日 21時) (レス) id: 2f0572d427 (このIDを非表示/違反報告)
つぐみ - 零景、私も好きです!2人でお家ごはんとかも見てみたいです。お味噌汁は必ず景(嫁)が作るとか。 (2022年12月10日 20時) (レス) @page2 id: b9f39745af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みらい@マサイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mirai1212
作成日時:2022年12月10日 7時