初恋の絵本 season２ (ページ36)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:29,988 hit

第２１話 ① ページ36

忍に手を引かれ家の前に停まっていた車に乗り込む。
運転席には高橋さんがいた。

『あ、高橋さん！おはようございます！』

高橋「おはようございます。水嶋様。」

『今日は、よろしくお願いしますっ！』

高橋「承知しました。」

そう言って笑顔を見せてくれる高橋さん。
紳士だなーなんて思っていると忍がこちらを見ていた。

『…忍？』

忍「…似合ってる…。」

『はい？』

あまりにも小さい声だったので聞き返すと顔を真っ赤にさせて

忍「…っ！に、似合ってる！！今日の服。」

『え、あ、ありがと…。』

忍に「似合ってる」って言われて顔が赤くなる。
嬉しい…そう思いながら忍を見る。
今日の忍もジーンズに白いTシャツ、黒いベストのカーディガンを羽織っていた。
忍らしくて、かっこよかった。

『し、忍も、似合ってるよ。』

俯きながら勇気を出して言う。
忍の反応が無く心配になりチラッと忍を見る。
驚いた顔をしてフリーズしていた。
なんか忍が可愛く見えて笑ってしまう。

『ふはっ！何か言ってよー！』

忍「お、おう…サンキュ。」

『んふふ！お互い様だねー！』

忍「…そうだな。」

そう言って笑顔を見せてくれる忍に安心する。
よーし！ドキドキするけど、楽しまなきゃねー！
と意気込みながら忍に話しかける。

『そういえば、今日ってどこ行くの？』

忍「…もうそろそろ着くと思うんだが…。」

『ん？』

忍「高橋。ここでいい。」

高橋「はい。」

そう言って車を停める高橋さん。
あれ？ここって？
駅前じゃん！

忍「ほら、行くぞ。」

『あ、うん！』

車を降りてあたしの手を取りエスコートしてくれる忍に鼓動が早くなる。
忍はあたしが降りたのを確認して「迎えきて欲しい時は連絡する。」と高橋さんに言うと「承知しました。」と返事をしてどこかへ行ってしまった。

『ここ、駅前だよね？』

忍「そうだが？」

『じゃあ、バスで来れたじゃん！！うわー、高橋さんごめんなさい。』

忍「…は？」

『遠くに行くのかと思ったけど、街なら一緒に歩いたりバスに乗りながら来たかったなーって思ったり…。』

そう言うと忍は「そう、なのか？」と驚いている。
そうだよなー。お坊ちゃまだから車移動が普通だよね。

『うん、だから帰りは歩いたりバスに乗ったりしようねっ！』

そう言うと忍は「わかった。」と笑ってくれた。