初恋の絵本 season２ (ページ35)

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第２０話 ④ ページ35

時計を確認すると１０時丁度だった。
すげー、時間ぴったりじゃん。
そう思いながらカバンをかけ、帽子をかぶる。
母に『行ってくる』と声をかけ玄関に向かいサンダルをはくと
後ろから母が見送りに来た。

『いや、来なくていいんだけど…。』

母「あら、忍くんにAがお世話になるんだから！挨拶しなきゃね？」

そう言いながらニヤニヤしてるお母さん。
ただ、忍を見たいだけだろ。
そう思ったけど言い出したら絶対曲げない性格なので諦めて扉を開ける。

忍「…よ、よう。」

『お、おはよ！』

扉を開けると少し顔を赤くした忍が立っていた。
すると後ろから声が聞こえる。

母「あなたが忍くんね。」

忍「…？」

忍は誰だ？って顔をしながらお母さんを見ていた。
お母さんが「Aの母です。」と言うと
忍はびっくりした顔をしながら「す、鈴木忍です。」と一礼する。

母「礼儀がいい子ねー。Aには勿体ないわー。」

『ちょっと、どーゆこと！？』

変なこと言わないでよー！恥ずかしいっ！
そう思っていると

忍「いえ、Aは優しくて、素直で…だから、そんな、勿体ないってことは…」

そう言いながら顔を赤くしている忍。
ちょ、ちょっと、なんでそんなこと言ってるの…。
そう思いながらあたしも顔を赤くする。

母「あら、ふふっ！ありがとう。今日はAのことよろしくね？」

忍「は、はい！」

『じゃ、じゃあ、行ってきます！』

母「行ってらっしゃい！」

そう言って玄関を出て扉を閉める。

『ご、ごめんね…お母さんが…』

忍「い、いや。本当のことを言ったまでだ。」

そう言ってあたしを見る忍。
恥ずかしくなって顔を赤くしていると手を取られる。

忍「…行くか。」

『…うん！』

デートは始まったばっかりです。