origin6 ページ8
うずくまって、しばらく泣いていたみたいだ。
すこし目が腫れぼったく感じる。
重い足を引きずりながら、病室に戻ろうとした、のだが。
「大丈夫ですか」
……この低めの声は。
(まさか、そんな)
ぐぐぐぐ、と後ろを向くと、紅白にわかれた特長的な髪色の少年が私を見ていた。
(とっ、と、ととと轟くん…！！！)
『…だ、大丈夫です』
「…あ、いや…泣いてるとこ見ちまったんで…」
すいません、と謝ってまたランニングに戻ろうとする轟くんを、まって、と引き止めた。
…呼び止めてしまった。
だって、こんなにも優しい、
あったかい人だなんて知らなくて。
『あ、りがとう…』
絞り出した声は、聴こえているか不安なほどか細かった。
「…いえ」
あぁ、行ってしまう。
『っあの、名前…』
「え」
あ、名前、とすぐに合点がいったようだ。
「轟焦凍」
轟くん、と名前を呼んでみた。お前は、と尋ねられた。
『白引Aです』
「……いい、名前だな」
それだけ言うと、轟くんはじゃあ、と声をかけて行ってしまった。
『じゃ、じゃあ』
手を振ったけれど、彼の姿はもう遠かった。
(…と、轟くんとエンカウントしてしまった…！！！)
さっきとは打って変わって、少し話しただけで私の足はスキップを始めそうだ。
軽い足取りで、私は病院に向かって歩き始めた。
病院内に入ると、人の気配がたくさんした。
このひどい顔を見られたら嫌だな、なんて思いつつ。
急ぎ気味で自分の病室に戻り、ベッドの中にもぞもぞと潜り込んだ。
眠気に襲われ、少しだけ目をつぶった。
その少しの間に、私は夢を見ていた。
(Aちゃん)
(�犖沈��瓩任討癲∋笋燭礎舂匹靴任靴隋�)
(Aちゃん…なんで、…私は、)
夢の中の女の子は、泣いていた。
どうしてそんな夢をみたのか、わからなかった。
女の子は、私を真っ直ぐに指さして何かを叫んだ。
けれど、私には届かなくて。
それは、とてもかなしい声だった。
(…私、あの子のこと、知ってる気がする)
どうしてそんなことを思ったのかも、私には、わからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅーくりーむ(プロフ) - 化け猫さん» 化け猫さんありがとうございます！嬉しすぎるお言葉…私にはもったいないです(；＿；)これからもどうぞこの小説を見守ってやってください…笑頑張ります！！ありがとうございます！！ (2017年12月23日 15時) (
レス) id: 947c5a0014 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫(プロフ) - おもしろいです。切実に面白いです。これからもがんばってください！！ (2017年12月23日 14時) (レス) id: 8b31c3a625 (このIDを非表示/違反報告)
しゅーくりーむ(プロフ) - maya*さん» ほんとですか、ありがとうございます(；＿；)嬉しいです…！！頑張ります！！ (2017年12月8日 6時) (レス) id: 947c5a0014 (このIDを非表示/違反報告)
maya*(プロフ) - わぁ！いい話じゃないですか！これから見ていきます！更新頑張ってくださいね！ (2017年12月8日 1時) (レス) id: 6f9da94116 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅーくりーむ | 作成日時：2017年12月7日 18時
