brave17 ページ48
この世界に来て自分の存在意義を問うことになるなんて、と思った。
無意識のうちに涙が頬を伝って、シーツにシミを作った。
私のせいで、爆豪くんに怪我をさせてしまった。
『……爆豪くん、は』
掠れた声でリカバリーガールに問うた。
答えを待つ数秒が何分にも感じられて、胸が苦しい。
「あぁ、あの子。ピンピンして帰ってったよ」
私の治癒は体力がいるはずなんだがねぇ、のんびりとした口調でリカバリーガールは言った。
(…よかった……)
安心して、また全身の力が抜け落ちていった。
帰り道。
1人でとぼとぼと駅に向かいながら考えた。
…私のせいで、爆豪くんが怪我をした。
私がいなかったらーーーマンガなら、死柄木はこっちにはこなかった…と思う。
そう。
全部、
私がいることで、みんなに怪我をさせる。
私が原作に関わったら、みんなが危ない。
(……なにが、『みんなを救けたい』だ)
救けるどころか助けられてばかり。
さらには人に怪我させて迷惑かけて。
『…情けない』
自嘲気味に呟いた言葉は、空に吸い込まれていった。
(私に、何が出来るのかな)
その日の夕焼けは、目に染みるほど赤かった。
家に帰って、もんもんと考えを巡らせた。
優さんの声も耳に入らずぼうっとしてしまい、何度も注意されたほどだ。
携帯の通知も見ないまま、自分の部屋に閉じこもった。
…分かったことが幾つかある。ノートを開き、それらを書き留めていった。
一つ目。原作に介入したことで、原作と話が変わることがあること。
爆豪くんは原作では怪我をしなかった。
死柄木が、私に興味を持ったから、だ。
二つ目。私の前の世界での記憶は、どうやらだんだん薄れていること。
2年も経っていることもあるだろうが、肝心なところが思い出せなくなっている。
三つ目。私がいることで、みんながどんな行動をとるのかわからないこと。
基本はマンガに忠実に動くだろうが、そこに私が入るとなると…イレギュラーが出来てしまうことは明らかだった。
『…きめた』
明日から、みんなと親しくするのをやめる。
そうしたら、きっとみんな私に失望して離れていってくれるはずだ。
みんなに被害を被らないし、私が下手に動けば何があるかわからない。
(…またひとり、か…)
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しゅーくりーむ(プロフ) - 化け猫さん» 化け猫さんありがとうございます！嬉しすぎるお言葉…私にはもったいないです(；＿；)これからもどうぞこの小説を見守ってやってください…笑頑張ります！！ありがとうございます！！ (2017年12月23日 15時) (
レス) id: 947c5a0014 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫(プロフ) - おもしろいです。切実に面白いです。これからもがんばってください！！ (2017年12月23日 14時) (レス) id: 8b31c3a625 (このIDを非表示/違反報告)
しゅーくりーむ(プロフ) - maya*さん» ほんとですか、ありがとうございます(；＿；)嬉しいです…！！頑張ります！！ (2017年12月8日 6時) (レス) id: 947c5a0014 (このIDを非表示/違反報告)
maya*(プロフ) - わぁ！いい話じゃないですか！これから見ていきます！更新頑張ってくださいね！ (2017年12月8日 1時) (レス) id: 6f9da94116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅーくりーむ | 作成日時：2017年12月7日 18時
