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何故自分の頭にオールマイトが浮かんだのか、わけがわからなかった。
「人から個性を借りる、または譲ってもらうなんて……面白い話だね」
「し、信じてもらえないかもしれないけど……」
いいや、信じよう。本人がこう言うのだ。緑谷はこんな風に嘘を吐ける性格ではないだろうし、あんな力……いっそ他人から譲渡されたと考える方が自然だ。
それでも、初めてのことには変わりないけれど。夕日をぼんやり眺めながら、そんな風に考えた。
揺さぶるならこのタイミングだろうか。
「緑谷は、何回目？」
「……回？」
きょとんとした表情を返される。これが演技ならもう何も信じられない。つまりは、緑谷が転生者である確率はほぼゼロということだ。
私が突然聞かれたら固まる質問をしただけだが。
「いや、その類の怪我……何回目かなって。紛らわしくてごめん」
「怪我ね！ ごめん気付かなくて。ええと……」
指を折って数えるその姿が、転生した人間のソレには到底見えない。
本当は彼がした怪我の数なんてどうでもいい。ハンドボール投げ、戦闘訓練、USJ、体育祭……恐らくは入試でも怪我をしたのだろう。となると……
「5回くらい、かな」
「へぇ……凄いね」
「凄くは、ないと思う……」
凄いよ、と私は続けた。救ける為とはいえ、自分からそんな激痛に向かっていくなんて。痛みって本能的に恐怖を感じるものなのに。
「痛いの恐くないの？」
「そりゃ、恐いけど……僕がやらなくちゃ、駄目だから。制御も出来るように努力はしているし」
“やらなくちゃ”
彼が自分に課したのか、それとも別の因果か、或いはそのどちらもか。少しだけ、近いものを感じた。
「職場体験で、沢山学ばなきゃ……」
気合いを入れる彼を横目に私は考えていた。
緑谷が何者なのか。
質問に確かになったことは3つ。
無個性から、誰かに個性を譲渡されて今に至ること。
本来は制御が可能なこと。
彼は転生者ではないこと。
それに何度も考えたが、やはり今までの世界に緑谷は確実に存在していなかった。少なくとも私は体育祭のトーナメントメンバーは覚えている。ずっと変わらなかったから。それなのに、今回初めて緑谷がいた。
これは仮説だけれど、緑谷は今回
だから今までの世界に干渉出来るし、私が存在を知らなかったのも道理。
この仮説はほぼほぼ核心を突いているはずだ。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
