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意識が完全に輪郭を取り戻したので状況を整理する。
私は道端で倒れた。熱中症になったことに気付かずにふらふらと歩いていたからだろう。思えば水分を全く摂っていなかった。そして恐らく、近くを通りかかった爆豪に助けられて今に至ると。
屋内への移動、首元や腋の下の保冷剤に、スポーツドリンク、それに緩めた衣服……爆豪、中々やるじゃないか。熱中症の応急処置としては満点をあげたいところだ。きっとぶつくさ文句を言いながらやっていたんだろうが、彼も立派なヒーロー志望ということか。
のそのそと起き上がると、寝起き特有のどんよりとした頭痛を感じた。部屋を見渡すと年齢のわりにはスッキリと片付いていて、彼らしいといえば彼らしいとも思えた。
「さて……行くか」
わざとではないとはいえ、休日にいきなりお邪魔してしまったのも事実。迷惑がかかったに違いないので、そこは謝らなければ。そう考えて髪の毛を手櫛で整え、衣服を直して部屋を出た。ここは2階だろうか。階下から話し声が聞こえる。爆豪と爆豪の母親だろう。同級生に熱中症の介抱をされるなんて初めてで戸惑ってはいるが、一般常識の範囲で失礼のないように対応すれば問題ないはずだ。
「あの……」
「あらあんた、もう大丈夫なわけ？」
爆豪の母親の第一印象、めっちゃ爆豪に似てる。あと美人。
「この度はご迷惑おかけ致しました」
深々と頭を下げると、笑いながらとんでもないと言ってくれた。
「最初は何してんのかと思ったよ！ うちの勝己が遂に……ってね！」
「っの、クソババア！！」
スパァンと小気味のいい音が響いた。梅雨ちゃんが峰田君を舌で叩く時の音よりもキレがある。恐らく結構な頻度でやられてるんだな、あの爆豪が。そう考えるとクスリと笑みが零れるのだった。
「大事にならなくてよかったよ本当！ 気をつけなよ？」
「爆豪君のお陰ですよ。感謝してもしきれません。ありがとうございました」
「……きめぇ」
また気持ちの良い音が響く。爆豪も爆豪で、母親には殴り返したりしないのだから可愛い息子だな。まあ言葉遣いはアレだけれど。
「折角だから夕飯食べていきなよ」
いや、助けてもらってそれは悪いと遠慮したが、さすがは爆豪の母。強かった。断りきれずにお夕飯をご馳走していただくことになってしまった。因みに爆豪は死ぬ程嫌そうな顔をしていた。面白かった。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
