episode6 ページ9
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『「おはようございま〜す!」』
「「「おはよう!」」」
私たちの勤める総務課は元気で特に仲もいい。
まぁ、特別かっこいい人も特別かわいい人もいないけど。笑
「あぁ、そうだ如月
この資料を経理の黒木部長まで届けておいてくれ!
頼んだぞ!」
そう言い放つと私が返事をする間も与えず、部長はそそくさと部屋を出て行った。
出勤早々、面倒な仕事が...
経理部は無駄に顔面偏差値が高いせいなのか、朝から入り口には行列ができている。
なぜかって?ランチを共にする相手の争奪戦が日々繰り広げられているからである。
むろん私はそのような恐ろしい戦いには参加もしなければ興味もない。
経理にはイケメン三銃士と呼ばれる、人気の3人が顔をそろえている。
1番人気は主任の今市隆二。
おっとりとしていて優しい雰囲気を纏っているが、あまり食事の話に乗っているところは目にしない。だが、いつでもレディーファーストを忘れない紳士だ。
2番人気は岩田剛典。
顔がかっこいいことには間違いないのだが、異常にチャラい。お昼時には、両手に花を添えてランチに赴く。特定の女性はいないっぽい。
3番人気は係長の登坂広臣。
めちゃくちゃ人気...なのかは定かではないが、見物客と呼ばれる人が遠くから眺めていると言うのは有名な話だ。堅物で女には興味がなさそうだが、仕事は異様に速いとのことである。経理部のエリート。
どうして私がこんなに詳しいのか...それは凛子の博学並みの知識を叩き込まれているからだ。
「部長、Aのことすっごくお気に入りだもんね〜」
そう言いながら口角が上がるのを抑えきれていない。
『からかわないでよ凛子!』
「はいはい。
じゃ、戦地へ行ってらっしゃ〜い!!」
性格の悪さが顔に滲み出てるわよ!
と心の中で悪態をつきながら総務部を後にする。
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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時