恋愛ベクトル【Mizuki I】

ページ２７ * Hidaka ページ27

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勉強の合間、スマホをいじっていると突然切り替わる画面、


“ A ” と表示される。




『も、もしもし？』




上擦った声、もしかして泣いてる？




「どうしたの？！」


『……ひだか、』


「〜っもぉ！今すぐ行くから待ってて！家にいる？」




好きな子が泣いている状況にいても立ってもいられなくて、


返事もろくに聞かず、自転車の鍵を引っ掛けて、家を飛び出した。




*



___「……いた！」




Aの家の近くの公園に向かうと、ベンチに座り込んでるAの姿があった。



A、と名前を呼ぶと目を真っ赤にしたAが顔を上げる。




『……ひ、だか？』


「A！」



ぎゅっ、と抱きしめるとおそるおそる回される腕。


中学生の時よりも、女の子らしくなった柔らかいからだ、


こんなときなのに、クラクラする。




「……ねえ、やっぱり俺にしない？」


『……、』


「ずっと後悔してたの、Aのこと手放したの」




あんなことで、別れなければ。


今も俺の事を見ててくれたのかな？




「……俺の事、もう好きじゃない？」


『好きじゃない、訳じゃないけど、……』




言葉の続きを待たずに、無理やり唇を塞いだ。


瑞稀くんのことなんて考えないで、俺の事で頭を埋めつくしてくれればいいのに。




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