恋愛ベクトル【Mizuki I】

ページ１７ ページ17

.




早起きしよう、昨日の決意は何処に行ったのだろう。


目覚まし時計が指しているのは、いつも通りの時間。




『……やらかした』




とりあえず一刻も早く準備をしようと、階段を駆け下りて支度をする。


いつもはしっかりアイロンで内巻きにするけど、そんな時間はないから、


急いで髪の毛を一つにまとめて、ほんのり色付くリップを乗せた。




*




ローファーを履いて、行ってきます！と大きな声で挨拶、


行ってらっしゃいの返事を聞く暇もなく家を飛び出した。




『……あ、れ』


「おはよ！」




何故か、家の前の塀に寄りかかっていた飛貴。


なんでいるの？




『ストーカーですか？』


「違います！！！」




朝からうるさいなぁ、てか近所迷惑だよ。


ねえねえ！と話しかけて来る飛貴を無視して、自転車を庭から引っ張りだそうとしたけれど、



「え！！！自転車で行くの？！」


『今日早く行きたいから』


「一緒に行こうよ！」


『ヤダ……、あ、飛貴が漕いでくれればいいんじゃない？』




名案！


自転車だと早く着くし、漕ぐのは飛貴だから楽だし。


この辺交番もないし、バレないだろう……多分。




『はい、飛貴超特急ね』


「え、二人乗りするの？」


『変なとこで真面目発揮すんなよ』




でも！と何か言いたげな飛貴の腕を引っ張って、サドルに跨らせ、荷台に腰掛ける。


ちょっとサドル低い……、なんてクレームは無視。




.

ページ１８ * Hidaka→←ページ１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す