ｺｳﾉﾄﾞﾘ2ｰ小さな命ｰ(2)

6ｰ13 ページ26

＜まなみside>




鴻鳥先生から聞いた話は衝撃的で、ｶﾙﾃを落としかけたのを鴻鳥先生に受け止められた。




『なんで…』









“下屋救命に行くって”









医局を飛び出して加江ちゃんがいるであろう屋上に向かった。
向かう途中四宮先生にぶつかって怒られたけど、多分泣きそうな顔をしてる私を見て、ただ肩をﾎﾟﾝと叩いてくれた。









『加江ちゃんっ』


下「お、まなみ」





私を見るなり笑顔を作る加江ちゃん。






ぎゅっ




加江ちゃんに駆け寄り抱き付く。
加江ちゃんは戸惑いながらも受け止めて抱き返してくれた。







『救命大変だよ？』








翔北にいる時、実際事故現場に行って妊婦さんを診た時がある。
酷い怪我をした患者さんを目の前に私の足はすくんだ。
その命と向き合う彼女達を知ってる。


産科より何倍も体力も精神的にも辛いはず。








加江ちゃんはそれを知って選んだ。









下「私、絶対産科に戻るから」


『絶対だよ。戻らないって言っても無理矢理連れ戻す』


下「ふふ、ありがとう」


『うぅ…』


下「泣かないでよ、折角私も落ち着いたのに…もう…ずずっ」






しばらく二人で泣いて、最後は思いっきり笑った。









次の日ー



下「それじゃ、行ってきます」


小「たまには顔出してよ」


下「たまにはなんて寂しいですよ、ﾗﾝﾁの時はこっち来ますし…うぅ」




笑顔で話してた加江ちゃんは言いながら泣きそうになっていて、つられて私の視界も歪み始めた。




四「甘ったれんな。これじゃ先が思いやられるな。救命でも失敗しまくって叱られてる様子が目に浮かぶ」




四宮先生は加江ちゃんに近付いてﾎﾟｹｯﾄからｼﾞｬﾑﾊﾟﾝを出して渡した。
しかもﾎｲｯﾌﾟｸﾘｰﾑ入りらしい。




四「どんなに忙しくても食事は取れよ。それでなくても良くない頭がさらに悪くなる」


下「ありがたいですけど、ちょっと言い過ぎ…笑」


鴻「皆待ってるから」


下「お世話になりました」









こうして加江ちゃんは救命にいった。

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