3 ページ3
ーーー撮影終了後
「「ありがとうございました〜!」」
無事に撮影は終了した。
自分で言うのはあれだが、なかなか面白いコラボ動画に出来たのではないかと思う。
「Aさん、お疲れ様。楽しかったね。」
牛沢さんが笑顔で話しかけてくれる。
「はい、楽しかったです。牛沢さんもお疲れ様でした。」
収録中に気になったことが一つあった。それは、牛沢さんが撮影の間は指輪を外していたことだ。
共に控え室に戻り、帰りの支度をする。
わたしは思い切って聞いてみることにした。
「あの、牛沢さん...。」
身支度を整える牛沢さんが止まってこちらに顔を向ける。
「どうしたの?」
聞かなきゃ、真実がどうであっても...
「...牛沢さんって結婚されてるんですか...?」
心臓がバクバクして、声が震える。
手汗が止まらない。
違うと、言って...。
「あぁ、してるよ。まぁ、まだ公表はしてないんだけどね。」
牛沢さんは何事もないように答えた。
目の前が真っ暗になった気がした。
「そうだったんですね、指輪を付けてたのでそうなのかなって思ったんです。おめでとうございます!では、わたしは先に失礼しますね。今日は本当にありがとうございました!」
わたしは自分のバッグを手に取り、牛沢さんの顔を見ることも出来ず外へ向かった。
「ちょ、Aさ...」
扉を閉める時、牛沢さんの声が聞こえた気がしたけど振り向くことは出来なかった。
「うっ...うっ...」
涙がどんどん溢れてくる。
こんなとこで泣きたくないのに...。
止まらない...。
わたしが牛沢さんに憧れて頑張っていたゲーム実況。
いつかコラボしたい、そんな夢をみてやってきた。
その夢が叶った今日、
わたしの恋は、儚く終わりを告げた。
確かなことは、
彼が私を見ていないという現実。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みー | 作成日時:2019年6月25日 11時