【実況者】確かなことは、彼が私を見ていないという現実。【uszw】 (ページ2)

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「改めて、今日はよろしくね。」

そう微笑む牛沢さんの指に、
キラリと光るものが見えた。

シルバーの色をしたシンプルなリング、
左手の薬指についているそれは...

まさしく結婚指輪と呼ばれるに相応しいものだった。

牛沢さん、結婚してたの...？

先ほどまでの高揚から一変、
血の気が引くのを感じる。
そして、色んな疑問が頭を駆け巡る。

本当に結婚指輪？結婚してる？
いつから？そんな話あった？

.........誰と......？

頭の中がぐちゃぐちゃだ。
確かめたい、その指輪は何なのか、
結婚しているのか...。

「Aさん...？大丈夫ですか...？」

呼ばれた声に気付いて前を見ると、
心配そうにこちらを見る
牛沢さんと目が合った。

「あ、すみません。ちょっとぼーっとしちゃってて。」

えへへと笑ってみせる。

「大丈夫ですか？体調が優れないとかじゃ...」

牛沢さんは更に心配そうな面持ちでわたしのことを見つめる。

「いえ、そんなことないですよ！大丈夫です！」

「...無理せずに困ったことがあったら俺でもスタッフさんでもいいから声かけてね。」

そう言って牛沢さんは目線を外した。

わたしはその場が少し気まずくて、逃げるように部屋を出た。

指輪のこと、どうしよう...。
聞いて楽になりたいと思う反面、知るのが怖いという思いもある。

でも、聞かなければこのもやもやした気持ちのままだ...。

「あ、Aさんですね？この度は我が社の依頼を引き受けて頂いてありがとうございます。これから控え室へお邪魔して、本日の打ち合わせをさせて頂きたいと思いますので、よろしくお願い致します。」

「こちらこそ依頼を頂けるなんて思ってもみなかったです。ゲームの楽しさを視聴者の方にしっかりと伝えたいと思います。よろしくお願いします。」

廊下で依頼先の企業の方と出会い挨拶を交わす。
これはお金も発生する“仕事”だ。
しっかりしなきゃ。

わたしは控え室に戻り、牛沢さんも交えて担当の方と打ち合わせをした。