【2BRO.】嫌いって言ってください (ページ10)

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第10話ページ10

【A】

貴「ここ、美味しいですね」

兄「おついちさんに教えてもらったんで」

貴「美味しいわけです」

ふふふ、と笑いながらサンドイッチを食べた。

兄者さんも少し微笑みながらコーヒーを飲んでいる。

貴「やっぱり誰かと食べる食事は美味しいです」

兄「仕事場では誰かと食べたりしないんですか？」

貴「え？あ、えと…」

私は少し照れながら言った。

貴「お恥ずかしい話…同年代の子とはあまり仲良くできなくて…」

兄「え？」

貴「…嫌われちゃうんです」

こういうこと言うから嫌われるんだろうな。

と心の中で思った。

きっと彼にも、嫌われるんだ…

貴「年上の方や年下の方は普通なんですが、どうしても同い年や歳の近い子には…」

兄「でもグクさんは…」

貴「グクは私の数少ない友達の1人です」

もうこの際言っちゃえ、と私は言葉を続けた。

貴「高校の頃にゲームやサバゲーなどに目覚めて、男の子との絡みも多くなったんです。
私も男の子と遊ぶのは、本当の自分が出せて楽でした。
けど周りの女の子からしたら、私は遊び人みたいに見られてしまって、陰口とかそういうのが多くなったんです」

下を見ていたから分からないが、きっと兄者さんは私の話に耳を傾けてくれていただろう。

貴「高校卒業して環境が変わっても、同年代の子からのそういうのは変わりませんでしたけどね」

私は顔を上げ、ニッコリと笑った。

貴「でももういいんです。
気にしたら負けだと思ってるんで」

兄「…」

兄者さんはまっすぐ私の目を見て口を開いた。

兄「彼氏さんは、なんて言ってるんですか？」

貴「え？」

私、彼に彼氏の存在言ったっけ…

貴「…知ってたんですね」

兄「グクさんから聞きました」

あの野郎。

彼らに変な気を使わせたくなかったから彼氏のことは言わなかったのに。

貴「彼氏は……」

あれ、

彼にそのこと、話したことない。

貴「…そういえば、話したことなかった…」

兄「え？」

貴「いつも私の話聞いてくれないので、話さなくていいやと…
あ、その代わり私は彼の話たくさん聞きますよ！」

何がその代わり、だ。

代わりにも何もなってない。

貴「でも、彼氏の存在を兄者さん達に明かさずに仲良くなろうとしてたあたり、遊び人だと言われて当然ですね」

こういうとこもなんだろうな。

口を開けば開くほど、自己嫌悪する。