【2BRO.】嫌いって言ってください (ページ21)

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第21話ページ21

貴「お邪魔します」

弟「あっ！Aさん！いらっしゃーい！」

お「いらっしゃーいって、ここ俺の部屋だし」

テーブルには美味しそうな食べ物と、お酒の缶が置いてある。

お「好きなとこ座っていいですよ！」

貴「ありがとうございます」

兄者さんの隣に座ると、おついちさんがこれでいい？とお酒の缶を差し出した。

缶を受け取り、礼を言った。

お「それで、どうしたんですか？」

弟「え？なんかあったんですか？」

お「あー、別室のほうがいいか。
Aさんこっちに…」

貴「大丈夫です」

私はお酒を1口飲んだ。

貴「実は、彼に浮気されてるんです」

兄「は？」

弟「え？！」

お「…いつから？」

貴「だいぶ前から…
もう証拠も掴んで、別れを告げるだけなんですけど…」

弟「じゃあ、まだ付き合ってるってことですか？」

貴「はい…」

兄「なんで別れないんですか？」

貴「怖いんです」

兄「怖い？」

テーブルの下でギュッと拳を固めた。

貴「ハッキリとは分からないんですけど、なんでか怖くて言えないんです。
うっすらとした理由なら…」

弟「その理由は？」

貴「…日常が変わるのが怖いのかなって」

離れていても、連絡を取らなくても、彼が隣にいるのは当たり前だった。

彼が隣から居なくなるなんて、いつかはと想像してたけどすぐにやめてた。

でも、いざその日が来ると思うと喉が詰まった。

貴「浮気されてるのは分かってるのに、認めたくない自分がいるんです」

ツーっと目の端から涙が伝った。