第17話 ページ17
【A】
貴「ほんっとうにごめんなさい！」
お「いいよ、気にしないで」
お店を出て、おついちさんに頭を下げた。
貴「酔ってたとはいえ、あんなことを…」
お「大丈夫だってば。
Aさんの体調が良くなったのなら」
貴「良く…なりました…」
お「ならよし！」
私は少しうつむいて口を結んだ。
…嫌われちゃう…
彼氏いるのにこんなことする女なんだって、思われたら…
どうしよう、申し訳ない…
すると、トンと誰かに背中を押された。
その反動で数歩前に出た。
貴「え？」
兄「そう思い詰めることないですよ」
それだけ言って微笑む兄者さん。
私はふっ…と笑った。
弟「遅くなっちゃったね！
駅まで送ります！」
貴「ありがとうございます」
弟者さんとおついちさんの会話を聞きながら駅に向かっていた。
お「ね！Aさん！」
貴「え？」
弟「Aさんはたけのこ派？きのこ派？」
貴「私は…アルフォートですかね」
お「平和主義だった」
ふふふ、と笑い、ふと前を見た。
貴「…は？」
目に飛び込んできた光景に、私は足を止めた。
弟「ん？どうしたんですか？」
貴「え、あ、いや、そんな、あれ…？」
どうして、彼が知らない女と歩いてるの？
その女は誰？
どうして腕を組んでるの？
私より、幸せそうな顔してるのはどうして？
貴「ちょ、ちょっと待って…」
私は片手で頭を抱えた。
状況が理解できない。
兄「具合悪くなりました？」
貴「そ、そんなんじゃ…」
おかしい
おかしいおかしい
まさか私、ハメられて…
私は頭を振った。
貴「す、すみません、何でもないです…」
弟「ほんとに大丈夫ですか？
顔真っ青ですよ…？！」
お「どこか休めるところに…」
貴「大丈夫ですから」
ここから早く離れたい。
早く家に帰って、頭の整理をしたい。
貴「ち、ちょっと眠いなぁって」
私はバレバレの嘘をついた。
兄「いや、それにしては顔色悪すぎでは…」
貴「大丈夫です！」
作り笑いは得意分野。
今は作ってないと…死ぬ。
お「倒れそうになったらすぐ言ってくださいね？」
貴「はい」
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2018年3月13日 0時
