第6話 ページ7
《瑠璃月A》
窓に触れ、はぁ…とため息を吐いた。
貴「一緒に逃げよう、か」
頷けばよかったかな…
久しぶりに再会した幼馴染は、私の想像以上にかっこよくなっていた。
貴「あんなこと言われたら、期待しちゃうな」
コンコン、と扉がノックされた。
貴「はい」
扉を開けて入ってきた人物を見て、私は大きく息を吐いた。
「そんなため息吐かないでおくれ」
貴「何か御用かしら」
「君から甘い匂いがしたものでね?
恋の匂いさ」
気持ち悪。
私の所属するマフィアには、ABCとグループが振り分けられている。
女性だけで編成された、私率いるAグループ。
そして彼はBグループのリーダーだ。
こいつは何かと理由をつけて私に引っ付いてくる。
貴「なんの話かしら」
「冷たい君もまた素敵だよ。
まるで本心を隠しているようで、つい探りたくなる」
貴「ふん」
「それで、君を悩ます恋のお相手、それは一体誰だい?」
貴「恋…でまとめられるのなら、いくらかマシなのかもしれないわね」
「ん?」
私は振り返り、窓際にもたれた。
貴「これは恋でも愛でもないの。
ただの鎖よ」
「ほう…」
貴「私は鎖に悩まされてるの。
ほら、答えたわよ、早く出てって」
彼はふふふっと笑うと、私の顔の横に手をついた。
「君にしてはいい例えだ」
私は腕を組み、睨むように目を見た。
彼のもう片方の手が太ももを這う。
「そんな鎖、俺が切ってあげようか」
私は太ももの手を掴み、グッと捻った。
「いっ」
貴「私は安い女じゃないの」
彼の耳元で、皮肉のように言った。
貴「私を抱いていいのは、一人の男だけよ。
そして私の鎖を切れるのも、その男だけ」
手を離し、ヒールを鳴らして部屋を出た。
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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2018年2月28日 18時