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第21話 ページ22

《瑠璃月A》


貴「…いっ…
…いちくん!」


痛む腕を押さえ、いちくんに駆け寄った。


彼は意識を失っていて、至る所からドクドクと出血していた。


貴「いちくん!!いちくん!!」


大声で叫んでも反応しない。

シャンデリアをなんとか動かそうとしても、重くてダメ。


貴「いや!死なないで!いちくん!!
私を独りにしないで!」


泣き叫びながらいちくんの手を握った。


貴「いや…いやぁ…!!」

?「おついちさーん!!」


奥から声がして、顔を上げた。

丁度赤髪の男性と青髪の男性が入ってきたところだった。


?「おついち…さん?」

弟「嘘でしょ…?」


青髪の男性がすごい剣幕で私に近づいた。

そして私の肩が折れるほど強く押し倒した。


?「お前が…お前がおついちさんを…!!」

貴「違…」

?「嘘つくんじゃねぇ!!」

貴「あなたが嘘と思うのならそう思えばいいわ!
でも、早く彼を助けて!
こうしてる間にも血がどんどんと流れてショック死してしまう!!」

?「騙そうったってそうはいかねぇぞ。
俺達を油断させて、隙を見て殺すんだろ!」

貴「あなた達を殺してる時間があるなら、私はおついちくんを助けるわ!!」


私は涙をこらえて叫んだ。


貴「お願いだからおついちくんを助けて!!
私を殺すなら、おついちくんを助けてからにして!!」

?「………」

弟「兄者、この人…俺知ってる」

兄「は?」

弟「ミーシャちゃんを見つけてくれた人だ」

兄「なんだって?」


青髪の男性は私から離れた。

私は立ち上がり、弟者さんの目を見た。


貴「弟者さん、だったわね」

弟「うん」

貴「お願い、おついちくんを…助けて…」


弟者さんは私の目を見つめ、「分かった」と言った。

そしてシャンデリアに手をかけ、ふん!と持ち上げた。


兄「おい!何敵の言うこと聞いてんだよ!」

弟「おついちさんが…危ないでしょ…!
それに、殺意のある敵なら敵の救助を頼まない」

兄「でも、罠かもしんないだろ!」

弟「…そうかもしれない。
でも俺は、彼女が悪い人とは思えないんだ」


弟者さんは振り返り、私を見て微笑んだ。


弟「だってさ、普通敵のために泣く?
俺ならラッキーっつって殺すよ」

兄「…」

弟「てかこれ超重いんだけど!!
兄者も手伝って!」

兄「…くそ!
これはおついちさんを助けるためだからな!」


私は後ろで泣きながら「ありがとう…」と繰り返した。

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2018年2月28日 18時

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