【A3!】だらりと垂れた、充電コード (ページ34)

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34ボルトページ34

貴「な、なんでみんな…」

幸「それは後。
紐解くから起きて」

起き上がると、幸ちゃんが器用に紐を解いてくれた。

自由になった手を数回握った。

万「その格好見ると、アレか」

貴「………」

うん、と頷くと、万里くんが舌打ちしながら頭をかいた。

幸「アレって何」

万「お子様は知らなくていいんだよ」

幸「お子様じゃない」

万「とりま俺のTシャツ着とけ。
嫌がるんじゃねぇぞ」

万里くんは自分のTシャツを脱ぎ、私に着せてくれた。

貴「ありがとう…」

密「歩ける？」

貴「大丈夫ですよ」

三「外で監督さんが待ってるから、早く行こ」

貴「うん」

裸足で歩くのは流石に危険なため、三角くんがおぶってくれた。

これはもう奇跡としか言いようがなかった。

私は微笑みながら涙を流した。

貴「ありがとう、みんな」

幸「礼を言うのはまだ早いよ。
寮に着いてからにして」

三「そうだよ～」

小学校を出ると、いづみがこちらに走ってきた。

私は三角くんから降り、いづみを抱き留めた。

監「だから言ったのに…！！だから言ったのに！」

貴「ごめん、ほんとにごめんね…」

いづみは私の腕の中で大声をあげて泣いた。

私のためにこんなに泣いてくれるなんて…

顔を上げると、車の横に立つ丞さんと左京さんと目が合った。

監「…身体は…？」

貴「大丈夫」

いづみは体を離し、目元を指で拭った。

監「早く帰って手当てしないと…」

貴「それと、いづみのカレーが食べたいな」

監「わかった」

私の身体は汚れました。

それでも私を助けに来てくれて、私のために泣いてくれました。

私は、まだ使える充電器ということなのでしょうか。