【A3!】だらりと垂れた、充電コード (ページ23)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:74,949 hit

23ボルトページ23

寮に戻り、中庭に出た。

談話室はワイワイと騒がしい。

浴衣もまだ脱ぎたくなかった。

紬さんのことは、好きかと言われたら好きではない。

けれどドキドキしたり、嫉妬したりはする。

今まで何人かの人と付き合ってきたけど、こういうのは初めてだ。

恋なんてと思う自分と、恋かもしれないと思う自分が戦っている。

貴「………」

けれど、紬さんと手をつないだ時

私は何故か満たされたような気持ちになった。

貴「恋愛でこんなに悩むなんて久しぶり…」

その時、テーブルの上のスマホが鳴った。

貴「…」

ディスプレイには元カレの名前。

もう掛けてくんなって怒鳴ってやる。

貴「もしもし」

ー月岡紬ー

紬「あれ、Aさんは？」

太「中庭に行くのを見たッスよ！」

中庭…？

紬「ちょっと行ってくるね」

談話室を出て、中庭に向かった。

貴「いい加減にして！！」

Aさんの怒鳴り声が聞こえた。

どうやら電話をしているらしい。

俺は陰に隠れた。

貴「私はアンタとより戻す気はないって言ってるでしょ！」

より…ということは元カレさん…？

貴「……は？何よ突然」

Aさんの表情が少しずつ変わっていった。

貴「な、んでアンタがそのこと知って…
ありえない、なんで！
脅しても絶対付き合わない。
もう私に関わらないで！

…は？あんた何言って…！」

Aさんは耳からスマホを離し、溜息を吐いた。