【ヒロアカ】ヒーローって２ (ページ19)

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第19話どちらでもないページ19

父「まずお前は間違ったことを脳に記憶している」

貴「…どういうこと」

お父さんは日本刀をカランと捨てた。

貴「え…」

父「私の“個性”は、こいつじゃない」

すると、お父さんの右肩から手までを包むように紫の煙が上がった。

いや、煙というより霧か……

あれは…

父「私の“個性”は、操りだ。」

貴「……」

私は声が出なかった。

じゃあ、操りの敵(ヴィラン)の正体は……おとさん？

おかさんをずっと苦しめてきたのは、おとさんだったってこと……？

父「おかさんは知らないだろう。
何故なら、あの敵(ヴィラン)集団テロ事件で初めて“個性”を発揮したのだからな」

轟「……じゃあ、あの事件を起こしたのは」

父「そう、私なのだ。」

全てのクロはお父さんだった。

お父さんは、本物の敵(ヴィラン)だった。

父「それから、お前は私の中の狂いだ」

貴「狂い…？」

父「個性婚を、知ってるか？」

ピクリ、と轟くんが反応した。

父「私は私の血を引く強い敵(ヴィラン)が欲しかった。
その時見つけたのが、お前の母だ。
あの人は敵(ヴィラン)に相応しい“個性”を持っていたのに、ヒーロー側だった。
だから私“個性”を使ったんだ」

貴「でも、それじゃあ辻褄が合わない…
私は……私って……」

父「もう一つ狂いが起きたんだ。」

お父さんは、静かに涙を流した。

父「私たちは、不覚にも恋に落ちた。
利用するつもりが心に隙が出来た。
だから一時期だけ、“個性”を解除したんだ。
その時に産まれたのがお前だよ。」

お父さんとお母さんはちゃんと愛し合っていた。

そして私が生まれ、テロ事件でもう1度お母さんに“個性”を放った。

貴「そんな…」

その場に膝をつき、告げられた真実に言葉が出なかった。

轟「落ち着け、A」

貴「……」

私は…

個性婚で生まれた、愛された子供。

私は立ち上がり、轟くんを見た。

貴「私、敵(ヴィラン)でもなく、ヒーローでもなかったみたい…」