第29話 緊張 ページ29
刻一刻と本番が近づいている。
演劇部の空気も、ピンと張り詰めてきた。
私も、寮に帰ってからも緊張の糸が張ったまま解けなかった。
シ「A、また台本とにらめっこしてるネー……」
綴「本番、明日ですからね。」
ブツブツとセリフや立ち位置を口にしながら、ずっと台本を見ていた。
真「A…」
咲「邪魔しちゃダメだよ真澄くん…」
バサッと机に台本を起き、息を吐きながら背もたれもももたれた。
貴「……疲れた」
監「すごい集中力だね。」
貴「もう、明日ですから。」
私としては微笑んだつもりなのだが、疲れからかあまり笑えなかった。
監「Aちゃん、もう寝たほうがいいと思う」
貴「でもまだ…」
監「時間的には早いけど、ゆっくり体を休めないと明日に響くよ?」
私は小さく分かりました。と言い、部屋に戻った。
ベッドに横になると、じんわりと体が軽くなっていくのを感じた。
失敗したらどうしよう、お父さんに認めてもらえなかったらどうしよう、セリフが飛んだら…立ち位置を忘れたら……
考え出したら限りがなかった。
貴「…ダメだ、マイナスなことしか考えられない……」
その時、誰かが扉をノックした。
貴「はい」
一「やっほー!
一成と〜?」
三「三角だよ〜」
貴「一成くん、三角くん……」
一「Aちゃんのために、ココア入れてきた!」
私はココアを受け取り、ありがとうございます。と笑った。
三「ゆっくり休んでね〜」
貴「……はい」
一「あの夜のグータッチを思い出して。
Aちゃんなら大丈夫、出来るから。」
そうだ、あの時私は一成くんと約束をした。
そのためにも、こんなへばっててはダメだ。
貴「……やってみせます。
必ず、やりとげてみせます!」
一「その意気だよ!」
三「Aの笑顔が戻った〜!」
今度はちゃんと笑えたみたいだ。
不安は知らぬうちに消え去っていた。
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杏仁豆腐(プロフ) - 華ヶ崎レオさん» そうなんですね!更新待ってます。頑張ってください!応援しています! (2017年10月10日 15時) (レス) id: 055d45d5a8 (このIDを非表示/違反報告)
華ヶ崎レオ(プロフ) - 杏仁豆腐さん» コメントありがとうございます!そうですね…長い間放置しすぎてましたね…今の小説が書き終えたらまたこちらを更新していこうかなと思います! (2017年10月10日 14時) (レス) id: a8b7c32919 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐(プロフ) - こんにちは!この作品とても面白くて何回も繰り返して読んでます!お忙しいとは思いますが更新して頂けると嬉しいです!続き楽しみにしています! (2017年10月9日 13時) (レス) id: 055d45d5a8 (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - 若さん» ありがとうございます!!すごく嬉しいです…!頑張って更新せねば…! (2017年4月16日 17時) (レス) id: d996b1af9d (このIDを非表示/違反報告)
若 - 遊園地デート(?)も楽しみなんですが、お父様との展開がとっても気になります!!更新心から楽しみにしています! (2017年4月16日 11時) (レス) id: 0ee8e816b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2017年4月5日 20時