第1話 ページ1
フロ「ねーねー小エビちゃーん」
閉店後のラウンジにて。
私はキッチン清掃をしていた。
先輩のフロイド･リーチさんはカウンター席で半溶け状態。
フロ「小エビちゃんって好きな子いんのー？」
貴「先輩、サボるとまたアズール先輩に怒られますよー」
フロ「いーじゃん、ラウンジ閉まってんだし。
俺の仕事はもう終わったの」
貴「そーですかー」
はい、テーブル拭きますよ。とフロイド先輩に近づいた。
フロ「で、好きな子いるの？」
貴「まだ言ってる。
生憎そういうのはいませんね」
フロ「そっか。
ならよかった」
フロイド先輩は体を起こし、足を組んで肘をついた。
フロ「ねぇ、俺と付き合ってよ」
貴「何言ってんすか。
チクリますよ」
フロ「もー聞いてよ」
貴「そういう事は未来の誰かに取っておいた方がいいすよ」
フロ「未来じゃなくて、今の話」
貴「冗談言ってる暇あったら残りのテーブル拭いて下さい」
突然持っていたダスターをフロイド先輩に奪われた。
勢いに少し戸惑うと
フロ「次流したら怒るよ」
貴「…本気？」
フロ「うん」
貴「マジすか？」
フロ「返事は？」
貴「だって私好きな人いないし、そういうのってお互い好き同士じゃないと」
フロ「そういう決まりあんの？」
貴「決まり…ではないですけど」
フロ「ならいいじゃん。
小エビちゃんはそのままでいいからさ」
なんて強引な人だ。
まぁ多分いつもの気分屋が発動してるだけなのかな。
少し、付き合ってやるか。
貴「ほんとにいいんすね？それで」
フロ「うん」
貴「ほんとに私先輩のことなんとも思ってないっすよ」
フロ「いーよ」
この口約束程度の掛け合いが、まさか契約並のものになるとは思ってもみなかった。
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2023年4月16日 17時
