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第29話 ページ29

初恋は叶わないってママの小説によく書いてあった。

そうやって恋を学び、2度目の恋で愛を知ると。

でも、


貴「フロイドさん…っ!」


私は叶ってしまった。

小説に書いてあったことが覆された。

コップのお水が溢れ出すように嬉しさと感動と幸せがこぼれ落ちる。


貴「私も好きです。
大好きなんです。
こんな幸せな気持ち初めてで、特別で…」

フロ「うん、うん」

貴「嬉しくて、なにも言えない…」


彼は自分の服の袖で私の涙を拭った。

その流れで頬に手を添えて唇にキスを落とした。


フロ「なんも言わなくていんじゃない?
俺も同じ気持ちだし」

貴「フ、ファースト…」

フロ「ファーストなの?
じゃあいっぱい貰っとこー」

貴「ちょま、」








フロ「ほんとに寮まで送らなくていーの?」

貴「大丈夫ですよ」


オクタヴィネル寮の玄関口でフロイドさんに手を振り、また明日。と別れた。


ど、どうしましょう…

こんな幸せになってしまっていいの?!


あ、でも


貴「いつか帰らなきゃいけないんだよね、ここから」


休日の学園はまた別の雰囲気で賑わっている。

その声が少し遠く聞こえた。


その時はその時だ。

今はこの気持ちに浸っていよう。

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年3月10日 22時

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