第11話 仲直り ページ11
誰かが扉を叩く音で目が覚めた。
あの後泣き疲れた私はそのまま眠ってしまったようだ。
グリ「誰か来たんだゾ」
貴「どうしよ…ブローチ無いから出られない…」
グリ「オレ様が見てきてやる」
グリちゃんは空き部屋から出て玄関を開けた。
グリ「ふな！お前さっきの！
何の用だ！」
さっきの…？
てことはフロイドさん？
フロイドさん！？
グリ「おい！勝手に上がるんじゃ…話聞けー！」
バッ！と勢い良くドアが開かれると、確かにフロイドさんが立っていた。
私はただ彼を見上げることしか出来なかった。
グリ「ちょ」
追いかけてきたグリちゃんを締め出すように扉を閉め、私の前でしゃがんだ。
なにも気力の湧かない私の手を持ち、ブローチを乗せた。
フロ「ごめんね」
貴「え」
フロ「服、破っちゃったし。
さすがに泣くとは思ってなかったわ」
少ししょんぼりしたような顔をしたフロイドさん。
フロ「小エビちゃんのこと、女だって知ってた。
でも誰にも言ってねーし言うつもりもねーよ」
貴「…」
フロ「小エビちゃんからしたら初めましてなのも忘れてた」
貴「忘れてたって…」
フロ「俺はちげーもん」
貴「どこで」
フロ「ここ」
ここ？
フロ「ここ海近いじゃん？
俺たまにそこ行くんだけど居たでしょ」
まだここに来て数日の頃、抜け道を見つけて辿ったら海に着いたことがあった。
その時、か。
フロ「最初誰？って思ったんだけど、制服着た瞬間男になったから性別変えれんのおもしれーって思ってさ。
聞いたら転入生って分かったから見てたんだよね」
貴「え、ストーカーですか？」
フロ「人聞き悪くね？」
私はブローチをギュッと握りしめた。
貴「…ありがとうございます」
フロ「ん？」
貴「わざわざ、来てくださって…」
フロ「だってそれねーと学校来れないんでしょ？」
貴「どこまで知ってるんですか」
はは、と笑って立ち上がり、フロイドさんに手を差し出した。
貴「仲直り、です」
フロ「ん」
グリ「あ、やっとでてきたんだゾ！
ここはオレ様の縄張りなのに締め出すなんて」
フロ「もー帰るよ。
また明日ね、小エビちゃん」
貴「お気を付けて」
本当はいい人、なのかな、フロイドさん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2023年3月10日 22時
