【学園ヘタリア】ようこそ！ヘタリア荘へ！ (ページ32)

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-032号室ページ32

英「誰もいないな」

貴「田舎だから」

降りた駅は、ほとんど無人駅だった。

貴「…あ」

出口で立つ、美しい一人の女性…

？「…………A？」

貴「お母さん…！！」

私は持っていた荷物を落とし、母に駆け寄った。

母は、私を優しく抱きとめた。

母「ごめんね、ごめんね…」

貴「ううん、いいんだよお母さん…」

2人の目からとめどなく流れる涙。

私は子供のように泣きじゃくった。

貴「お母さん、この人はアーサー。
ここまで付き添ってくれたんだ」

母「そう。
よろしくね、アーサー君」

英「はい…」

それから、母とアーサーとで懐かしい町並みやおばあちゃんの家(今はお母さんの家)に行った。

母「…そっか。
みんなと仲良くやれてるんだね」

貴「うん」

母「よかった。
あ、これをミィハに渡してくれる？」

と、渡されたのは白い封筒。

貴「うん、わかった」

母「そろそろ終電よ。
ここの終電は早いから、早めに帰りなさい」

駅に着き、母と抱き合って改札をくぐった。

窓からお母さんが手を振っている…

貴「………」

母は、手を振りながら泣いていた。

電車が発車し、母と思い出の場所が遠ざかる。

私は胸元をギュッと握りしめた。

英「……優しかったな」

貴「うん…」

英「心配することなかったろ？」

貴「うん…」

一筋の涙が、ツゥ…っと流れ落ちた。

その瞬間、アーサーが突然私の頭を肩にくっつけた。

貴「え？」

英「今だけ肩貸してやる」

貴「アーサー…」

私は目を閉じ、静かに泣いた。

アーサーは優しく頭をなで続けてくれた。

こんなにも辛くて、こんなにも優しい気持ちになれたのは久しぶりだった。

貴「アーサーは、どうして私に優しくしてくれるんだ？」

英「は？」

貴「私は冷徹な性格だし、みんなから避けられるのに…」

アーサーはため息を吐いた。

英「お前がほっとけねぇからだ」

ドキン…とした。

ほっとけない…か。

私は微笑み、バーカとだけ言った。