第4話 ページ4
ほんとは薄々気づいている。
お隣さんが私の推しだと。
おついちだなんて名前早々いないし、もしかしてって思ってたのがいつかは確信になっていた。
本当は凸したいけど、ファンとして、そしてお隣としてそれはルール違反だ。
貴「すみません、このケーキ1つお願いします」
「かしこまりました。
プレートにはメッセージお書きしますか？」
貴「はい、おついちさんお誕生日おめでとう、で」
「かしこまりました。
出来上がり次第お呼び致します」
貴「お願いします」
でも、推しなのは変わりなく、いつもソワソワしてしまう。
貴「もう40歳なんだな…」
そんな節目の年に、願うことなら本人の目の前でお祝いしてあげたかったな。
「お待たせしました、笹木様〜」
貴「あ、はい！」
そんなこと、無理か。
ケーキを振らないよう気をつけながら家に帰ると、偶然にもお隣さんが車から降りてきていた。
貴「あ、こんにちは」
お「こんにちは。
よく会いますね」
貴「そうですね」
お隣さんは私の手に持つ紙袋を見た。
お「ケーキ、ですか」
貴「へ？！あ、はい、へへ…」
お「もしかして、誰かお誕生日とか」
貴「いえ、その、いや間違ってはないんですけど、ちょっと違うというか…」
お「違うんですか？」
するとお隣さんはへへへ、と笑って自分を指さした。
お「もしかして、僕に？なんて」
私は目を見開いた。
お「いや冗談ですからね？
なんか失礼なこと言ってすみません」
ここで、そうですって言えたら…
もし言ってしまったら…
貴「いえ」
私はただ微笑むことしか出来なかった
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2020年8月25日 23時
