第27話 ページ27
次の日、
医務室の扉をノックし、中に入った。
貴「あら、おはよう」
Aは体を起こして笑っていた。
ナ「…体調は」
貴「もう大丈夫よ」
ナ「ふーん」
ベッドの横に置いてあった椅子に腰掛けると、ギシッと音がした。
貴「…ねぇ、ナワーブさん」
ナ「あ？」
貴「あの、えっと、その…」
Aはもごもごと口ごもった。
ナ「なんだよ」
貴「…やっぱりなんでもない」
ナ「はぁ？
余計気になるだろ！言えよ！」
貴「ほんとになんでもない！」
えぇ…と言いたげに目を細めると
貴「…なんでもないけど、ひとつだけ言わなきゃいけないことが」
ナ「ん？」
貴「私、転生する」
ナ「…知ってる」
Aは目を少しだけ大きくさせたが、「そっか」と微笑んだ。
貴「何になるんだろうね、私」
ナ「泣き虫だからなんかの虫だろ」
貴「関係ないじゃない」
ナ「逆に何になりたいんだ？」
そうだな…と考えた後、歯を出して笑った。
貴「ナワーブさんにまた会えるなら、なんでもいい」
ナ「は、はぁ！？」
貴「なんちゃって」
俺はムッと口を曲げた。
ナ「ならマーキングしといてやろうか」
貴「え？」
椅子から立ち上がり、彼女の袖をめくった。
そしてガブッ！と細い腕に噛み付いた。
貴「いっっった！！！！
何すんのよ！！！」
腕は赤くなり、微かな歯型が。
ナ「これで俺も一目で分かるだろ」
ふん！と鼻を鳴らした。
反撃してくるかな、と思っていたら何故か静かだ。
Aの顔を見ると、
貴「……ありえない」
今まで見たなかで1番と言えるほど顔を赤くし、口元を手で隠していた。
ナ「え、あ」
予想外の反応に戸惑った。
貴「ばか」
その一言が心臓を貫いた。
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2019年4月7日 19時
