第19話 ページ19
自室に着くなり、ベッドに倒れ込んだ。
さっきのナワーブさんが頭に張り付いて離れない。
貴「あー…」
でも、もしあのまま私が抵抗しなければ、その先何をされていたんだろう。
ただ試されていただけだとしたら
貴「……」
とくん、とくん、と心拍数が上がる。
こんな気持ち久しぶり…
するとコンコン、と誰かが扉をノックした。
貴「はーい」
扉を開けるとジョゼフが立っていた。
ジョ「やあ」
貴「ジョゼフ、何か用？」
ジョ「一応起こしに来たよ。
ほら、朝いなかったからまだ寝てるのかなって」
貴「残念、ちゃんと起きてるわよ」
ジョ「そっか、それならいいよ」
じゃあね、と去ろうとするジョゼフの腕を掴んだ。
ジョ「どうしたの？」
貴「紅茶飲みたいから部屋行くわ」
ジョ「また？
僕は紅茶屋さんじゃないんだけど…」
貴「あら、他に誰が入れてくれるの？」
ジョ「しょうがないな…」
ジョゼフの隣に立つと上がっていた心拍数もいつも通りに戻った。
貴「ジョゼフは恋とかしたことある？」
ジョ「突然すぎやしないかい？
でも、恋はしばらくしてないね」
貴「そう。
ならお付き合いした人は？」
ジョ「いないね」
貴「え、ほんと？
私がいない間とか、何も無いわけ？」
ジョ「何も無いよ」
貴「あ、そう」
ちょっとだけ残念に思い、ジョゼフの部屋に入った。
ジョ「全部Aで止まってる」
貴「え？」
ジョ「僕の時間はずっと、Aで止まってるよ」
貴「それ、どういう…」
ジョゼフは背を向けたまま、何も言わなくなった。
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2019年4月7日 19時
