【第五人格】flow down (ページ11)

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第11話ページ11

ーナワーブー

ナ「はーらへったぁー」

深い眠りから目が覚め、食を求めてキッチンに向かっていた。

ナ「いい匂い…」

また女子が菓子作ってんのか。

よし、ここはつまみ食いといこうじゃねーか。

ひょっこり顔を覗かせると、中にAがいた。

ナ「うっそだろ」

壁にへばりつき、ズルズルと座り込んだ。

うわどうしよ、絶対めんどうなことになる…

めんどくせぇことは避けたいんだ…

そろーりともう一度キッチンを覗くと、Aは満面の笑みでクリームを混ぜていた。

ナ「……」

楽しそうだな…

そういえば、昔の連れが言ってたっけ。

よく泣くやつはよく笑うやつだ…

もしかして俺は、昔の自分とAを重ねて見てるのか…？

ナ「…気持ち悪」

俺はフードを深くかぶり、キッチンから離れた。

ナ「はらへったー」

ぐぅぅう…となる腹を擦り、中庭の芝生に寝っ転がった。

キッチンから漂う甘い匂いが唾液腺を刺激し、口の端からよだれが垂れそう。

やっぱりつまみ食いするべきだったか。

そんなことを考えていると

リッ「おや、ナワーブさん、そんなところで寝ていると風邪を引きますよ」

ナ「リッパー、いいところに」

リッ「何か？」

ナ「なんか食い物ないか？
腹がへって死にそうなんだ」

リッ「そうですね…」

リッパーはゴソゴソと懐を探ると、飴玉を一つだけ出した。

リッ「美智子さんから頂いた飴なら」

ナ「んあー、腹の足しにもならん」

リッ「わがままですね。
もう少し待てばレディー達の美味しいお菓子が出来ますよ」

ナ「それまでに俺が生きてたらいいけどな」

といいつつ、俺はリッパーからもらった飴を口の中にほおりこんだ。

…オレンジか。