第97話 ページ7
その夜、絹姫は城をまた抜け出しました。
もちろん夜の帳の降りた町は静かでみんなすやすやと眠っています。
香「全く、こんな夜に呼び付けるとは礼儀がないんじゃないかい？」
広「まぁ、まだ起きてたからいいけどね。
ところでどうかしたの？お絹」
絹姫は二人を見て微笑みました。
絹「…明日、父上から言われると思うが先に話しておこうと思うてな。
戦が始まるのじゃ」
広「戦…」
香「佐野様も行かれるのか」
絹「あぁ。
若様…焔江殿も共に着くが…今回は大きな戦だと聞いておる」
絹姫の目は覚悟したかのようにまっすぐと、そして固い意思を感じました。
絹「お主らとこうして会うのも、最後かもしれぬ」
香「さい、ご？」
絹「父上はお主ら民を心から愛しておられる。
明日みなに戦が始まると伝えるのは、なるべく遠方に逃げよと言う命を下すため。
もちろん負け戦などするつもり到底無いが、民が悲しむ姿を父上は見とう無かろう」
香「前助殿は？」
絹「民と共に逃げてもらう。
佐野家のたった1人の跡取り息子だからな」
広「お絹は…どうするの？」
絹「…散る時は城と共に散る」
香乃は絹姫の肩を強く掴み、今まで見せたことの無いくらい怖い顔で怒鳴りました。
香「散々俺らを振り回しておいて、最期は格好つけて逝くってんか！
1人で！？前助殿さえ置いて逝くって？！」
広「香乃！」
香「戦は領主様だけのもんじゃねえ！
僕ら民も共に立ち上がるんが戦ってもんじゃねぇんか！
何が佐野家だ、何が姫だ、お前は俺らの幼馴染でもあんだ！
1人で背負わせて逝かすか！」
絹「…戦を知らぬくせになぁ」
絹姫は香乃の手を持ち、ギュッと握りしめた。
絹「お主がそんなに熱い男とは知らなんだ」
香「な、ん、」
絹「ありがとう」
香乃は照れを隠すように顔を逸らしました。
そんな姿を見て広丸は笑い、二人の間に入って言いました。
広「僕らも戦う。
きっと皆そういうと思うな。
だって、この町が大好きだもの」
見上げる空には満天の星空。
広「大丈夫、お絹は1人じゃない。
もしものことがあれば僕らが助けに行くからね」
絹「…ありがとう」
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華ヶ崎レオ(プロフ) - さらさん» ありがとうございます！ものすんごいお褒めのお言葉頂けて嬉しいです…！豊前くんへの愛も深まったようで何よりですσ(´∀ ｀●)これからもよろしくお願いします！ (4月13日 11時) (
レス) id: c0d7bd9e07 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 完結おめでとうございます！！もう泣きながら読みました！！素敵な作品書いてくれてありがとうございます！！お疲れ様です！！ますます豊前くん大好きになりました！！たま、新作も楽しみにしてます！！また始めから読んで来ます！！ありがとうございました！！ (4月11日 22時) (レス) @page27 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
華ヶ崎レオ(プロフ) - さらさん» ありがとうございます！！もうそろ終わりが見えて参りました…あと少しだけお付き合いください(*'-'*)ﾉ (4月7日 21時) (レス) id: c0d7bd9e07 (このIDを非表示/違反報告)
さら - めっちゃ感動しました！！最後読んでてポロポロと涙まで出ました！！舞台のお話もとっても良かったです！！豊前くんとも結ばれましたね！！お話も終わっちゃうのが寂しいです！！コレからも応援してます！！ (4月7日 0時) (レス) @page22 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2024年3月16日 9時
