第2章-11 ページ21
女の子たちの細い腕は引きちぎられ、腹に足で穴が開き、頭は潰れ、目玉が飛び出て――。
「なに、あれ」
(……奴らは私たちを、殺しに来ている?)
さあああ……っと、顔から血の気が引いていく。
体から力が抜ける。
「邑っ」
動きを止めた私を見て、史恵菜が再度叫んだ。
はっと我に返るけど、そうしている間にも奴らはこっちに向かってきていて。
もう――目の前にいる。
――ああ、だめだ。ここで死ぬんだ。
(ごめん夏。ごめんお母さん)
覚悟を決めて、目を閉じた。
◆ ◆
「どーん!!」
…………。
……?
『どーん』……?
私の声ではもちろんないし……私の腰にしがみついている史恵菜の声でもない。声がしたのはもっと――もっと上の方。そして後ろから聞こえた。そう、私が開けるのを諦めた扉の方から――。
そんな。
もしかして。
私はゆっくり、恐る恐る片目を開けた。
そこには伸びている『奴ら』と――その上に片足を乗せ、青から黄色のグラデーションというペンキをぶちまけたみたいな髪色をした、オレンジ色のツナギの少女がいた。
振り返れば、さっきまで私が開けようと頑張っていた扉が開いている。
蝶番が壊れて、キイキイと嫌な音を立てて揺れていた。
ツナギの少女は私と同じくらいか、ちょっと年上。源義経ばりの『八艘飛び』で『奴ら』を踏み倒し、私と史恵菜に向かって来る奴がいなくなると満足げに振り向いた。
目を丸くして何も言わない私たちをじっと見つめ、首を傾げた。
「……ん、何?何かついてる?」
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作者名:めいろ | 作成日時:2019年12月16日 22時