【天王()】表裏一体な毎日【短編集】

【オールスター】暇を持て余した軍曹の遊び�� ページ1

「暇。暇ったら暇。暇すぎて暇。猫犬殺して遊ぼうかな」

「待って軍曹！開幕ひどくない？！」

　窓から心地よい風が吹き込む日曜日。
　簡易的な顔の絵文字が書かれた紙を顔に貼り付けた第一天王()、軍曹。ソファにだらりと身体を投げ出し、誰に言うでもなく呟いたつもりだった。が、天井を見上げている間に誰かが部屋に入ってきていたらしい。

「…ん？」

　声の方へ顔だけ向ける。
　青い髪に、緑色の瞳。片手でドアノブを掴み、もう片方の手を自分の方に向けて『STOP！』とジェスチャーをする少年がいた。

　彼こそがたった今暇つぶしの『材料』にしようとしていた第二天王()、猫犬。
　ねこけん。
　猫なのか犬なのか分からない奴だが、猫耳もついていなければ犬の尻尾も生えていない。
　生えたら面白いのに。

「おかえり」

「ただいま！…じゃなくて！今の独り言は何かな？！」

「何だ、聞いてたん？盗み聞きかよ趣味が悪いな〜」

「ドアを開けたら聞こえたの！」

　わあわあと騒ぎ続ける猫犬を無視し、軍曹はソファから身体を起こす。
　そして脇に立てかけていた弓を肩に担ぎ、「じゃあ猫犬、行くで」と振り返った。猫犬はきょとんとした顔で首を傾げる。

「え？どこに？」

「遊びに」

(耳つけるとかしっぽ生やすとか、そういうのは裏方にお願いすればいいって知ってる)

　軍曹は紙の裏でにこりと笑った。



　うまく猫犬を丸め込んで連れてきた先は、これまた大きい一軒家。
　ここが本拠地でないことを知ってはいたが、軍曹は(ここにいなければまた歩けばいい)と開き直ってチャイムを押した。
　返事はない。
　もう一度押す。
　やはり返事はない。
　軍曹はため息をつき、両手でどんどんと扉を叩いた。

「くーりーさーん。あーそーぼー」

　うしろで猫犬が「なんか僕、嫌な予感がするなぁ」と呟いている。
　それでも逃げ出さないのは優しさか好奇心か、それとも諦めているのか、本当に馬鹿なのか。

　…しばらくして。

「…うっせーな」

　ガチャリと鍵が外される音と不機嫌そうな声がして、軍曹は扉を叩く手を止めた。

　扉を開けたのは、栗の仮面をかぶった長身の女性。
　程よく筋肉がついた彼女は口調も相まって一見男と見間違えられるが、正真正銘女性の彼女の名は第五裏天王()、栗花落(つゆり)。

「あ、栗さん。おったん」

「寝てた」

　本当に寝起きらしく、ぼさぼさの髪をかきあげる。気を抜いたら惚れてしまいそうだ。

暇を持て余した軍曹の遊び�□�

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