【天王()】表裏一体な毎日【短編集】

【天王()ハリポタパロ】古き賢き ページ28

たとえ魔法界でも、人間界でも。根深い問題として『それ』は存在する。

「お前、本当にレイブンクローか？」
「ハッフルパフじゃねえの？」

　授業が終わり、休み時間。本来なら次の教室に移動する時間だが、昼休みのため大抵の生徒は外に出るか、食堂に足を運ぶ。
　だからこそ、教室はがら空き。
　少年たちが話をしているだけならば、それを咎める人はいない。たとえ話の内容が思わず眉をひそめるようなものでも。一人を責めるように囲んでいても。学校全体がにぎやかな時間帯だからこそ、足を止めて耳をそばだてなければ、何の話をしているかも分からない。
　
「組分け帽子にお願いしたのか？バカを隠してくださいって」
「ち、ちが…」

　少年3人が囲む机には、一人の少年が座っていた。青と黄色のグラデーションがかかった髪。長い袖の中に両手をしまっている。
　時折顔を上げ少年たちに反論しようとしているが、消え入るような声と共に顔もどんどん俯いてしまう。
　大きな瞳は歪み、唇を噛んでひたすら耐えている。

「魔法の才能なさ過ぎだろ」
「お前が失敗するたびにレイブンクローが減点されるの。分かってる？」
「母さんか父さんがマグルだったよな、たしか。そのまま国語や算数をずっとそっちでやってれば良かったのに」
「何でホグワーツに来ちゃったの？」
「……………っ！」

　その言葉には耐えられなかったのか、少年はバンッと机を叩いて立ち上がった。
　悔しさや憎しみ、様々な負の感情がこもった右の拳を、思い切り振り上げて、そして――。

「その差別的な発言、お前ハッフルパフにもレイブンクローにも失礼やぞ」
「何でホグワーツに来ちゃったのかな、って人間はむしろ貴方たちよね」

　――振り下ろすより先に後ろから凛とした声が聞こえ、固まる。
　聞き覚えのある声にびくりと震える少年たち3人。
　いつも同じ授業を受けている仲間だから、そして10年に一人の逸材と呼ばれる秀才であるゆえに、一方的に聞き慣れてしまった声。
　グラデーションの髪色の少年は振り上げた右手をゆっくりと下ろしながら、ゆっくり、ゆっくりと振り向いていく。

「貴重な昼休みもいじめとは、元気な奴らやなぁ」

　そこにいたのは想像通りの人物。ぼりぼりと首の後ろをかきながら、短髪の青年が言った。同い年とは思えないほど長身で、周りから『兄貴』と呼ばれている。ニホンという国から来ているらしく、黒い髪に黒い瞳、そしてイントネーションに特徴のある話し方。そして

レイブンクロー→←白い部屋��

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