白い部屋 ページ26
掴まれた方を見上げれば、焦った顔の兄貴――第六天王()須賀兄貴。左手にはお酒の缶。腕に下げたビニール袋の中にもまだいくつか入っている。
「あ…兄貴」
「何しとんのや、行くで」
「え、ちょ」
温度が一切感じられない声。だけど私の腕を掴む手は凄く熱い。
兄貴は私の返事も待たず、そのまま歩き出した。女に見向きもしない。あえて視線を合わせないようにしているのか、絶対に目を合わせないという強い意志を感じた。私は連れられるがまま。
あれだけ遠かった大通りにものの数秒でたどり着き、信号を無視して渡り、何回か角を曲がって完全に来た道が分からなくなったところで、ようやく兄貴は「ふう」と足を緩めた。
ずっと早足で…いや、小走りで兄貴についていった私はぜいぜいと肩で息をしている。胸に手を当てて呼吸を整えてから、「兄貴、ありがとう助かった」とお礼を言った。
兄貴は渋い顔で振り返る。
「けもさん、危なかったなぁ。あの世に連れて行かれるところやったで」
声にいつも通りの暖かさが戻っている。
でも待って、良からぬワードが聞こえた。
「…あの世?」
「知らん?『赤い部屋』」
「何それ」
聞かれたのは白い部屋だった気がするけど。赤い部屋?
「青い部屋も流行ってたから、今度は白い部屋って言われても納得するわ」
「ちょっと待って、TRPGで赤い部屋とか青い部屋とか登場した?私が知らないシナリオってこと?」
「は?」
「んん?」
兄貴はきょとんとした後、くすくすと笑いだした。何がおかしい。
「あー、けもさんおもろ。ほんま良かったなぁ。助けに来れたのがワイじゃなかったら…そうやな、ねこさんや軍曹さんやったら二人まとめて連れて行かれとったかもなぁ」
ワイ世代じゃないとわからんネタかもなぁ。
兄貴はそう言って、離れていた腕を再度掴んだ。そのまま強い力でずるずると引きずっていく。今度は適当に歩いている風ではない。しっかりとした足取りで、ちゃんと我が家に向かっている。兄貴はにこにこ笑いながら振り返った。
「元ネタ、教えたるわ。さ、さっさとうちに帰るで」
「え、ええ…?」
「大事なんは強制終了や。さっきの、けもさんにとってのワイみたいにな。覚えとき」
「は?」
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めいろ(プロフ) - 天王()以外の第三勢力による作品につきましては「ファンによる二次創作」と称し二次創作タグをつけております。裏天王()が微妙な位置づけのため二次創作とタグ付けしましたが、今回のように誤解を生む可能性を考慮し、二次創作タグを外します。ありがとうございました (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - まるさん» 閲覧&コメントありがとうございます^^身内ネタのため、誤解を与えてしまったようです。当作品は創作でございます。天王()メンバー全員が、自身で作ったキャラクターに自身の名前をつけております。そのためメンバーが作った作品はオリジナルとして出しております。続 (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年9月25日 21時) (レス) id: e6f4a54f51 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - 猫犬さん» あ!!重傷の人だ!!!笑ありがとう・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2018年9月23日 23時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
猫犬 - わーい!!!!めっちゃ面白い!続き全裸待機する( ˇωˇ ) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 21c60ad337 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいろ | 作成日時:2018年9月17日 4時