115.ズルい女 8/24new ページ42
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二宮さんの家を出てからずっと
「浮気は不治の病」って言葉がやけに頭に残ってしまって溜め息ばかり出てしまう。
二宮さんにはプロポーズされたことまでは言えなかった。
でも、結婚するのかと聞かれて
違いますって言い返せなかったあのなんとも言えない間で
なんとなくわかってしまったかもしれない。
A「プロポーズされてこんなに暗い顔してる女の子なんて私くらいだろうな…」
信じたいのに心から信じられない恋人よりも
好きだよとか、自分のとこにおいでとか
甘い言葉をくれる二宮さんにふらついて倒れ込みそうになってしまう自分がいて。
恋愛感情をもって好きになっちゃいけない人だと
心のどこかで常にブレーキをかけているのに
ふとした拍子に壊れてしまいそうになる。
A「……こんなのズルいな…。」
今の自分はあまりにもフラフラしていて
拓海の手も二宮さんの手も、両方握ってるようですごくズルい女だと思う。
溜め息を吐きながらほどなくして着いた拓海のマンション。
カチャカチャと合鍵を使って部屋の中に入り込む。
部屋の時計を見てもう帰ってくる頃かな、と冷蔵庫にある物で食事の用意をして待つことにした。
出来上がりとほぼ同時に玄関が開く音がして
部屋中に匂いがたちこめてるせいもあってドタバタと走ってくる拓海。
拓海「ただいま！おっ、旨そー！」
A「おかえなさ………ちょ…っ///」
拓海がいきなりキスしてこようとするから咄嗟に避けてしまう。
一瞬寂しげな表情を見せたけど、肩を抱いて素早く頬にキスをして微笑む。
拓海「結婚したら毎日こんな感じだろ？(笑)いってきますとただいまのキスはしたいな。」
A「………拓海…」
拓海「手、洗ってくるから。汗かいたから先にシャワーもしていい？」
A「う、うん。」
ん、と差し出された営業バッグとジャケット。
しゅるん、て解いたネクタイも一緒に渡される。
拓海と結婚したら、毎日こんな風に出迎えるのかな。
そんなことを考えながら
渡されたジャケットをハンガーにかけて鞄をいつもの場所に置く。
ネクタイは単身赴任に行く前にプレゼントした物だった。
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作者名：みおり
| 作成日時：2014年7月22日 17時
