出来たてを召し上がれ3 (ページ19)

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92.忘れ物ページ19

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二宮「……どこだ？洗面所？」

ブーン、ブーンと響く音を意識しながら歩いて行くと

洗濯機の側に俺と同じ色の携帯が震えて光っていた。

二宮「こまちゃんのかな。」

手にした携帯は着信を知らせていて

画面には『公衆電話』の表示。

二宮「もしもし？」

こまちゃんじゃなくて、知らない奴だったら話がややこしくなるな…と思いながら控えめに声をだす。

『も、もしもし？二宮さん…ですか？』

二宮「うん、こまちゃん？」

『はい。駒井です。すみません、携帯忘れちゃって…どこにありましたか？』

二宮「洗濯機のそば。」

『す、すみません。』

二宮「取りに来る？ないと困るだろ？」

『今からお邪魔してもいいですか？』

二宮「ちょっと待って、家じゃないの？今どこにいんの？」

『…あの、その…まだ外なんです。友達と約束してて……わりと近くにいるんですぐ行けますから。』

歯切れ悪くそう言うから、俺の方もピンと来て。

あぁ、友達じゃなくて彼とデートなのかな、ってそう理解して
「うちはいつでも大丈夫だから」と伝えて電話を切った。

そりゃ、そーだよな。

毎日ここに来てたって、帰りに待ち合わせしてデートなんかいくらでも出来るわけだもんな。

二宮「お仕事だけじゃ、こっちには引き込めない…か。」

ふーって長い溜め息をついて

こまちゃんの携帯をリビングのローテーブルの上に置いて
床にペタンと座り込んだ。

ゲームでもしながら待ってっかなーって、ぽちっと立ち上げてコントローラーを操作していると

しばらくして

玄関の方でカチャリ、と音がした。

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