【浪漫探偵】未完成レッテル【cs】 (ページ9)

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孤毒

　「却説(さて)、空き時間も出来た事だし、掃除をしようか助手くん。
あははっ、趣味だよ趣味。僕の、さ。別に、部屋を綺麗にする事は悪く無いと思うけれど…今は君にしか宛てがいないんだよ。出来るならで良いんだけれど…そりゃ、探偵ってのは華やかな物が大抵だからそう言うのは嫌うんだろうけどね」

　「探偵らしい見た目？そりゃ、煙管に外套…いや、あんまり見た事が無いんだよね。何なら、君よりも見ていないよ、僕は」

　「花？花は好き、だね。一般の範囲だし、知識は浅いけれど。どうして急に聞くのかよくわからなかったね…いや、質問するな、という意味では無くて。
…花が欲しいのかい？そういう事なら、花屋に行ってくるのに。気軽に言っておくれよ」

　「……そんなに僕の頭をわしゃわしゃして…楽しいのかい？
……全く…別に、構わないのだけれど…少し、恥ずかしいと言うか…
いや、君がそう言うのなら、全く構わないけれど…」

　「いや…好き……だよ。…そう言う事では無くて…！いっ、いや…
……そうかも知れないけど…でも、信じてる。信頼しているんだ…
君だけは、僕の側から離れないと。側に居てくれると。……あははっ、冗談だよ。聞き流してくれ」

　「…っ、僕を殴ったって、殺したってこの町(浅草)は変わらないよ。だって、僕には…、
僕には、皆んなの様な力なんか何にも無いから。推理力も、頭脳も、何も。ただの一般人だ。
僕はただの偶然と、皆んなの勘違いの所為で名探偵って思われてるだけで、僕自身には何にも力はない。
……殺すなら殺したらいいじゃないか。ねぇ」

博愛